表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第三章 ヤンデレ魔女のやり直し 間違えました、で済む話では無いのだが。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/164

第142話 新婚初夜 ということにしたい新ハーレム、しかし俺は

 グレナダ公爵家の俺専用部屋、

 いやもう完全に住まわせる気でいるな、

 今回の件が片付いたら王都に土地か周辺に領地を貰うって当主が息巻いていた。


(そこを治めるのは俺ってか)


 いや、俺に貴族は無理だろう。


「まあ、優秀な執事を雇ってそれに全部、任せるパターンもあるらしいが……」


 と思いながら窓に映る俺の姿を見る、

 うん、アストの種(芽)が頭にくっついていたりはしない、

 こっちに来た直後、ミオスとハミィに確認して貰ったから大丈夫だ。


(メイドとかにくっついていても、わかるようにしたらしい)


 とはいえ、また外から覗かれたら意味は無いが。

 そして俺は今、何をしているかというと待っている、

 何でも新ハーレムが四人して訪ねて来るらしい、予告の時点で察した。


「でもなぁ……」


 十二年前まで、旧ハーレムとはそういう事はしなかった、

 いや、そこまでしたことになるのかと言われれば最後の一線は超えていない、

 魔王を討伐する、その目的に皆が一心不乱になるため、そして自分に活を入れるため。


(お楽しみは、全てが終わってからだ、と)


 しかし想定外に俺は魔界へ落とされた、

 道連れにされ、その張本人をいや元凶の魔王を倒しても、

 元の世界へ戻る手段がわからず、その結果、魔界で他の魔王を倒し続けることに。


「孤軍奮闘、たったひとりで……という事実は、変らないよな」


 途中で魔物に助けて貰えたのは意外だったし、

 その中で四種の、四体の魔物を仲魔に出来たのはラッキーだった、

 ただあくまでも『調教した、ティムした魔物』という意識の延長線上であって、俺が『ひとり』なのは間違いない。


(ただ、きっかけや条件がなあ)


 知能の高い魔物相手とはいえ、

 その場しのぎで提案に乗り続けて、

 元の世界へ戻れれば、魔界から脱出すれば後はどうとでもなると思っていた。


「何より、アリナ達が待っているはず、一刻も早く戻ってやらねば、という想いが強すぎて……」


 そのせいで仲間の、いや仲魔のアスト、ナルガ、リムリア、カミラを甘く見たというか、

 ぞんざいに扱うという程では無いが、徹底して『利用』させて貰った、そして相手は魔物だ、

 当然、一線を超える訳にはいけない、リムリアと夢の中でした行為はまあ、夢であり幻覚であり物理的には何も無いので……


(ぎりぎりセーフ!!)


 起きたら大変な状況になっていたが、

 それはもちろん『俺だけ』の話だ、そう、俺個人の。

 いや別の考え方として『魔物相手ならノーカン』というのもありだろうが、俺はさすがにそれは……


 コン、コンッ


 ドアをノックする音、

 ついに、支度が終わって……来たか。


「開いているぞ」

「失礼致します」「失礼します」「失礼」「失礼しますぅ」

「ちょ、お前たち、なんで下着姿で!」「事実上の、新婚初夜ですから」


 今日のあのパーティーは、

 結婚式もしくはその披露宴みたいなものか?

 まあ親もある程度は揃っていたし、とにかく俺が新ハーレムを選ぶのを確定したいらしい。


(にしても早くないか)


 まあ焦っているのかもな、

 正直、俺だって決めていないし、

 あと十二年前のように、俺の身に何が起こるかわからない、現に魔物も来ているし。


「というか、その姿で廊下歩いて来たのかよ」

「正妻側室の部屋からすぐですよ」「私は何も恥ずかしくは無いわ」

「特に寒いといった感じでは、ありませんでしたが」「ハミィはラスロお兄さまのものですからぁ」


 顔を紅らめながら並ぶ新ハーレムのみんな、

 いやナタリだけは真顔というか、すまし顔というか、

 無表情とまでは言わないが冷静、あとの三人は恥ずかしそう。


「その、ラスロ様、私達の姿、いかがですか」

「問題ない、それは問題ない、そこはまったく問題ない」

「良かったです、もっとよく見て下さい、お近くで」「いやいやいや」


 白を基調としたミオス、銀を基調としたロズリ、

 紫を貴重としたナタリ、黒を基調としたハミィ、

 それも若く魅力的でクラクラする、いやほんと十二年前に、旧ハーレムに迫られていた頃を思い出す。


(このままだと、呑み込まれるな……よし)


 俺はベッドの上で土下座する。


「「「「ラスロ様?!?!?!?!」」」」

「ほんっとうに申し訳ないが、そういう行動は、全てが解決してからにしてくれ、

 俺はもう同じ失敗を繰り返したくない、みんなを残して消えた時……みんなを傷つけたくないんだ」


 さあ、この言葉を、

 ミオス達はどう取ってくれるのか……?!


「大丈夫ですよラスロ様、私は、私達はラスロ様を待っている間、他の男と結婚したりはしませんから」

「あの魔物達は、今は味方とは言え脅威ですよね、一緒に居るこのチャンスに、攻略法を探ってみます」

「私はラスロ様に拾っていただいた時点で、何もかも従う覚悟はあります」「お兄さま、まだ叔母に裏切られた心の傷が」


 四者四様だな、

 なんだか随分年下のみんなに、

 俺が慰められているというかなんというか。


(だからこそ、落とされる訳にはいかない)


 みんなにとっては新婚初夜でも、

 俺にとってはまだまだ戦いの真っ最中だ。


「ここで気を緩めるつもりは無いんだ、

 本当にここで一旦結婚みたいなことになって、

 安らぎを得てしまうと、もう平和はどうでも良いやってなりかねない」


 それはさすがに、

 みんなも嫌なはずだ。


「勇者様はやはり自分に厳しいのですね」

「やはりラスロ様は本で読んだ通りの勇者様です」

「私はラスロ様の所有物ですから、お好きな様に」「お兄さまぁ……」


 おっ、なぜか尊敬されているぞ?!


「ということで今夜はひとりで寝る、

 もうラグラジュ大森林への出発が近い、

 眠りながら、眠りに落ちるその瞬間まであらゆる事態に備えて考えたいんだ」


 下がって行くミオス、

 ロズリもナタリもハミィも……

 どうやら上手く行ったみたいだな。


「わかりました、では全てが終わったら私達を選んでくれるということで」

「実はアリナ様やヨラン様達の処遇について、その提案もあったのですが」

「それではおやすみなさいませ」「御用がございましたらいつでも……お兄さまぁ」


 出て行こうとする四人、

 だが、ロズリが言った言葉が気になった。


「待ってくれ、その提案とだけを聞かせてくれ、ロズリ」

「はい、全てが片付いて、再び平和になった後、アリナ様達への『ざまあ』ですが、

 もし、もし心優しいラスロ様が『捨てる』という事が出来ないのであれば、その時は……!!」


 その提案は、

 それはそれで恐ろしいものであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ