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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第三章 ヤンデレ魔女のやり直し 間違えました、で済む話では無いのだが。

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第138話 完全に魔王の間 取り囲まれて詰められる俺、さあどう落としどころを着けるか

「さあラスロ、もう逃げられないわよ」


 連れてこられたアスト城一階の奥、

 もうこれ完全に『魔王の間』といった場所だ、

 奥の木製巨大玉座に座るアスト、隣には朝食を終えたばかりのナルガ。


(そして周囲は、ぐるりとドリアード達が囲んでいる)


 中央の俺は完全に逃げ場が無い、

 いや逃げた所でどうするっていう話だが、

 しないとは思うが怒って王城を崩しにかかられたら俺が怒られる。


「ああ、話し合いをしよう、とはいえまだやることは」

「わかっているわ、だから一気に全部詰められないって事も」

「ラスロ、観念するんだね、アタシとの子作りの話はその後でいいさね」


 さすがにこの状況だと、

 アサシンのナタリがどこかで潜んでいるとか無さそうだ、

 アリナあたりが居てくれても良かったが、ここは俺が解決すべき話だよな。


「それでアスト、アストの希望する婚姻は」

「私と一体化して五百年、一緒に過ごしましょう」

「それでエルフが産まれるのか」「する事をしたら、ね」


 まあ一体化はすでに経験した、

 あれが五百年となると、うーん、

 ようは動く樹に埋め込まれる訳だからなぁ。


「俺はそれは勘弁して欲しい」

「じゃあ何年?」「いや何年でもない」

「わかったわ0年ね、それでいいのね?」


 ……魔物相手に迂闊に了承してはいけない、

 魔界で『言葉で惑わせる魔王』は何匹か相手にした、

 なかには脅迫とか、えげつない言葉とか、セクシ、まあ色々と。


「もし良いと言ったらどうなるんだ」

「交渉、調整ですもの、間を取って二百五十年で丸く収まるわ」

「いやいや収めないでくれ」「話を詰めるって、こういうことでは?」


 それを聞いたナルガのやつ、

 にやにや笑いやがって! まったくもう、

 さあ、どう落としどころを着けるかだな……。


「真面目な話、俺はこっちの世界に婚約者が四人、いや八人居る」

「私には関係ないのでは」「ある、そっちが先に婚約している、四人の方な」

「でも魔界での協力、その対価は私との婚姻のはずよ」「そこだ、権利がかぶっている」


 困った顔になったアスト、

 よし行けそうだ、と思ったら、

 ドリアードの連中もみんな困った顔になってやんの。


(あくまでアストが困っているから、従属するドリアードも困っている)


 後で『コマラセルナ』とか叱られても、知らねえ。


「では、戦えと?」

「なぜそうなる、一緒に平和を取り戻す仲だろう」

「あら、てっきり私達も含めて倒すつもりとか、考えているかと」


 ……鋭いなあ、

 いや魔物側からしても当然の警戒か。


「こっちの世界には籍だけ入れて別居する夫婦も居る」

「それが私に通用するとでも?」「わかっている、まあとりあえずだ」

「とりあえず、どうするの?」「アストと婚姻は結ぶ、それは確定して良い」


 その約束から逃げるのは、うん、やめよう、

 何せこれからも、まだこっちで働いてもらうのだから。


「嬉しいわ、人間より私を取るのね」

「いや、婚約者の人間とはすでに婚姻は確定している」

「そうなの?」「アストと会う前からな」「じゃあどうするの」


 どうしよう、なんて言えないよなあ。


「とりあえず全員、人間八人とそちらの、いやナルガ達も含めると十二か、

 五百年を十二で割ると、ええっと」「ヨンジュウイチチョットダ」「ドリアード頭良いな」


 さすがネリィの子供達を育てられるだけはある。


「じゃあ四十一年くれるのね?」「いや、四十一年後に」

「なぜ私の順番が、二番目なのよ」「いやまあそれはだな」

「口を挟ませてもらうよ、ラスロ、三グループで分けるなら五百年を三で割るさ」「ヒャクロクジュウロクチョットダナ」


 聞いてもないのに答えるドリアード、

 さすが頭が良いだけでなく気が利く、

 って脳とかあったっけコイツら、まあいいや。


「ということで百六十六年後に」「だからなぜ二番目なの?」

「会った順番だな、旧ハーレム、アリナ達が最初、次がアスト達、最後がミオス達」


 いやそれ確実に最初の旧ハーレムで寿命が来るな。


「……もちろん死体は貰いたいけど、生きているラスロと婚姻を結んでいないと意味ないわ」

「使い道があるのか俺の死体に」「ええ色々と、でも今はそんな話じゃないわ、ねえラスロ」

「おうアスト、どうしたどうした、どう話をまとめようか、まとまらないなら持ち帰って考えよう」


 腕を伸ばすアスト、

 その枝で出来た手の平に、

 八つの種が……まさか、これは。


「あの八人の人間を、私にする事だって出来るのよ」

「傀儡にか」「いいえ、私自身によ、魔界でも他の魔物にやっていたでしょう?」

「あっ、そういえば操っていたな」「これなら全員の約束を守れるのでは?」「いやいやいや」


 寄生された魔物は、

 用が済んだら程なくして樹になっていたと思うが。


「うーん、ここはだな」「私は引かないわよ」

「そうだな、そしてみんな引かないだろう、だからだ、

 権利を持つ全員で話し合って決めよう」「人間八人と?」「そうなるな」


 うん、それで新旧ハーレムの知恵も借りよう。


「ならこっちもリムリアとカミラを」「カミラは無理だろう」

「そうね、ラスロのせいで」「本当に悪いと思っている、ていうかカミラがせっかく」

「いいわ、とりあえずリムリアを」「その前に、ラグラジュ大森林の再封印だ」「その後の話よ」


 よし、もうこのあたりで良いだろう。


「とりあえず話は少し詰められた、俺とアストだけでは詰められない事がわかった」

「……では今から人間も」「いや再封印への準備中だ、アストも準備を頼む、それで」

「道中に他の人間も含めて話を詰めるのね?」「そうだな、出来れば帰りに」「……わかったわ」


 乗り切ったーーー!!!


「すまない、俺も再封印を控えて心に余裕が無い、

 ただ俺の話を詰める意思がある事は確認できただろう」

「こっちの人間の状況もあったのね、待たされたのは」「まあそうだな」


 そういう事にしておこう。


「今は納得してあげる、今は、ね」

「感謝する、ありがとうアスト……ごめん」

「もういいかい? 次はアタシと話を詰めて貰うよ」「ナルガ……」


 こっちも避けられないかぁ、やっぱり。

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