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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第三章 ヤンデレ魔女のやり直し 間違えました、で済む話では無いのだが。

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第134話 魔物対策会議 といっても味方のほうなんだけどな!

「では平和になったと同時に、味方の魔物も全て討伐してしまいましょう!」


 翌日、王城の貴賓室、

 俺が昨夜に一瞬だけ考えて振り払った『禁断の手』を、

 いとも簡単に俺に言ってのける旧ハーレム正妻のアリナ。


「いやいや、恩義っていうものがだな」

「しかし、だからといってラスロが犠牲になる事はありません」

「何も五百年、拉致監禁されると決まった訳じゃ無いんだから」


 あくまでもアストの、

 魔物側『最大の』希望、要望である。

 ヨランも続く。


「ラスロ、ラスロの見立てでは我が軍は勝てそうか」

「軍って……うーん、相手がアストとナルガだけだったとしてもだ、

 ドリアードの連中が魔界から無数に湧いて出てくるぞ」「なら不意打ちか」「殺る気満々だなオイ!」


 味方だというのに。


「ねえラスロ、ラスロが例えば、八十歳になるまで待って貰うというのは」

「……それもなあ、ていうかエミリとしては俺は八十でお払い箱なのか?!」

「いえ、そういうつもりは、でもどうしても生贄になるのが、避けられないというのであれば」


 生贄ねえ、

 なら誰か代わってくれないかな、

 いや無理か人間なら誰でも良いって感じじゃないからな、あの様子じゃ。


「ではラスロ、私じゃないけど一旦行って帰ってくるっていうのは」

「エミリ、それだと最低でも十二年ってことか?」「数日で離婚するとか」

「それこそ何されるか、そもそも二度もこっちへのゲートを開けて貰えるとは」


 もはや逃げるより説得の方向だ。


「ラスロサマァ」「ネリィ、何か考えでもあるのか」

「最高レベルの魔法使いはぁ、幻術魔法が使えるそうですゥ」

「それはつまり」「ラスロサマの幻覚を見せてェ」「リムリアが居るから無理だ、って別の仲魔な」


 下手すりゃ新旧ハーレムの方が、それにやられる。


「……ラスロ様、これは物凄く準備が必要なことなのですが」

「アリナなんだ教えてくれ」「はい、魔物が絶対に入れない結界を作るのです」

「光属性持ちもか、アストのような」「はい、そして聖域を造ってそこに暮らすのは」


 確かに準備が居るな、

 魔方陣の式はもちろんのこと、

 場所もそうだ、下手すればそこで一生の自給自足だ。


(だが、怒ったアスト達が罪の無い人々を……)


 あれだけ助けてくれたとはいえ、

 やはり魔物は魔物だ、完全に裏切られたと確定したとき、

 普通にその牙が、枝が俺や人類を貫いてもおかしくは無い、考えたくは無いが。


「いくつかある最悪のパターン、最終手段のひとつとして置いておこう、ヨラン、何か妙案は」

「ふむ、私に任せてくれるのであれば、やはり決闘だな」「えっ」「ナルガは私に任せて貰おう」

「勝てる……のか?!」「私がラスロを賭けて、決闘で負けると思うか?」「負けたのを目の前で見たが」「……」


 あーあ、何も言えなくなってやがる。


「しかし決闘か、エミリ、魔物相手に勝てる決闘はあるか」

「そうね、よりラスロを感動させる愛の告白が出来たら勝ち、とか」

「……それってジャッジは俺のさじ加減ひとつじゃ」「だからよ」「いや、そこまでチョロくは無いだろう」


 まあ案のひとつということで、

 突っ込まれたら『冗談』の一言でそれこそ済むだろう。


「そういえばネリィ、子供を人質に取られているような状況で済まない」

「いぇいぇ、世話する方が居ない現状ですからぁ、正直、助かっていますゥ」

「ちゃんとネリィも、たまには顔を出しているんだよな?」「……」「おいおいおい」


 まあ再封印の点検で忙しいのはわかるが。

 あっ、みんな改めて横一列に並んだ、何だろう。


「ラスロ、もしラスロが本当になんとかしたいのであれば、私も交渉に加わります」

「私もだ」「私もよ」「この、ネリィめもぉォォ」「そのかわりラスロ、私達からは逃げないでね」

「アリナ、ヨラン、エミリ、ネリィ……」「魔物から逃げるのは仕方ないわ、元の世界へ戻るためだもの、約束を破ってでも」


 ……そうは行ってもアリナ達も待ってはくれていなかった、

 いや、生きて戻ったと知って慌てて駆けつけてはくれたけれども。


(このあたり深く考えるのは、今はもうよそう)


 とりあえず明日、

 アストと会ってどう乗り切るかだ。


「そのあたりも含め、きちんとしてくる、

 とりあえずは俺ひとりで……大丈夫だ、

 今の状況から言って、すぐにどうこうされる事は無い」


 そう、すぐには。


「ラスロ、私達を信じて、今度こそ、もう絶対に離れないから」

「アリナ……」「私も、もう、ラスロしか居ない」「ヨラン……」

「どんなことがあっても、ずっと、ずっと抱きしめてあげるから」「エミリ……」


 最後に俺に抱きついてきたネリィ。


「ラスロサマァ、ラスロサマのためならネリィ、禁呪だって憶えてみせますゥ」

「例えばどんな」「ラスロサマを分身させる魔法とかぁ」「あるのか?」「さあァ」


 知らないのかよ!!


「まあいい、とりあえずみんなの気持ちはわかった、俺なりに……何とかしてみせる」


 そう、十二年もかかったとはいえ、

 魔界から元の世界へ戻る事が出来たんだ、

 今回についても、きっとなんとか……しよう。

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