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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

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第14話 新ハーレムは俺に夢中 このまま若さに呑み込まれるのも悪い気はしないが……

(ふう、水が美味しい)


 ハーレム入れ替えもの間、

 隣の部屋に居るシスターが気付いてお水を持って来てくれた、

 思わず『おかわりは可能ですか?』と聞くと水瓶ごと置きに来た。


(アリナを迎えに行った時の軽いトラウマが……)


 いや、あそこは厳格な修道院だったからだが、

 破壊してきたってアリナは言うが、結局どうなったのだろう?

 罪に問われないと良いが、いや俺まで巻き込まれたらどうしよう。


(いざとなったら流れで護るしかないか、国王陛下も巻き込んで)


 いや、魔界から再び魔物が来たんだ、

 それを上手い具合に理由にしてだな……


 ガチャッ


「ラスロ様!」


 特別祈祷室に先頭で飛び込んできたのは、

 まず賢者ミオスだ、うん、やはり若い、若すぎる、

 続いて剣士ロズリ、魔法使いハミィ、若すぎてクラクラするよ。


「もう話はついたのですね」

「叔母はもう魔導都市に帰られましたか?」


 すれ違いざまに話もしていないのか、

 そもそもすれ違ってすらしていないのか……

 最後に落ち着いた感じのアサシン、ナタリが俺に話し掛ける。


「失礼致します、ラスロ様、どのような話をされたのでしょうか」

「……やっぱり、言わないと駄目かな」

「現在のハーレムは私達です、崩壊したハーレムの情報は知っておくべきかと」


 なんだか真面目モード、

 いやアサシンモードかな、

 この中だとだいぶ大人(俺より年下だが)だから、まとめ役のつもりなのだろう。


「先ほどの話は、俺が死んだとなった後の話で……」


 あまりヨランの個人的な事は明かさないようにしつつ、

 皆の覚悟、取り決め、解散の様子をざっとわかるように話した、

 個々の込み入った話はまだヨランしか聞いてないし、言って良いとも言われてないし。


(事実を淡々と語る感じでの説明だ)


 そして話が終わると、

 感想を最初に述べたのはロズリだった。


「なるほど、つまりもう、完全に亡くなったものとして、終わっていたのですね」

「ああ、俺がしっかりしていなかったばかりに、ただ、あの状況では……」

「ラスロ様、少なくとも私は、ラスロ様は生きていると信じておりました!!」


 またまたそんな。


「……本当に?」

「はい、だからこそ、ここまで強くなれました!」

「いや、そうは言っても」「信じる力が源です、これはもう、立派な愛です!」


 まるで、きらきら輝いているかのような目……

 身体もヨランほどのしっかりさ、いや今はしっかりし過ぎていたが、

 そこまでは無いものの、このシャープさが逆に強さのひとつかもしれない。


(少し色々と足りないように見える部分は、伸びしろか)


 俺がロズリを見ていると、

 横から今度はミオスが話を入れてくる。


「まずラスロ様、冷静に現状を考えて下さい」

「ええっと、あれから十二年、経ったっていう事?!」

「その間の出来事です、まず聖者アリナは世を捨て、マベルス修道院に入られました」


 うん、それは事実だ。


「出て来ちゃったけどね」

「一度入ると出られない、つまりその時点で死んだも同然です!」

「いや、生きて出て来ちゃったけど」「何事もなく、お咎め無しで済むのでしょうかね」


 うん、そこは心配だ。


「まあ、いざとなったら俺が」「でも生きているラスロ様から逃げた事になります」

「いや逃げたって」「言い方がおかしければ『ラスロ様が生きる世界から離脱した』という事になります」

「うん、言い様によってはそうなるけど」「これって私には『裏切り』『別れ』のように思います」


 見方によっては、そうなる……のか?!


「そ、それで」

「もう十分です、その時点でハーレムの正妻ではありません」

「でも誤解が」「信じなかったからです、ラスロ様が生きて戻られる事を」


 でも、ずっと冥福は祈ってくれていた、

 あの世で苦しまないように、罪をひとり、全て背負って……


「それでもアリナは俺を」「私もロズリと同じように、死んではいないと思っていましたよ」

「……いや、それはこうして帰ってきたからって後付けで言ってるんじゃ」「そして他のお三方ですが」

「今、誤魔化して話を進めなかった?!」「理由は何にせよ、子を儲けてらしていますよね、愛の結晶を」


 ……そういう言い方をされると、

 胸が、心がえぐられる……寝取られの実感的に。


「ま、まあ」「難しく考える必要はありません、結果はもう出ています!」


 俺に抱きつくミオス、

 そして後ろにまわってロズリも……


「私達が、国王陛下が認めた、新しいハーレムです」「そ、そうだけど……」


 横からは魔女っ子が。


「お兄さま、ハミィは嬉しいです、王宮魔術師になるよりも嬉しいです」

「それなら私も、聖女になるよりも!」「私も剣聖とラスロ様、どちらを取るかと言われれば喜んで」


 一歩引いて見ていたナタリも。


「私達はもう、『ラスロ様の』ハーレムです、

 すでに受け入れて貰ったではありませんか」

「まあ、確かに、でもあれはハーレムが崩壊したから……」


 俺の手を引くナタリ。


「私の首を、触ってみてください」

「えっ……こう?」「触りましたね」「あっはい」

「私は諜報活動や暗殺で様々な男と関係を持ちました」


 国の暗部だったからね、仕方ないね。


「まあ、陛下から聞いたけど」

「でも私は、首だけは愛する男意外に触らせないと、頑なに護ってきました」

「じゃ、じゃあ今、これは」「これが私の、ラスロ様を愛する気持ちです」


 ……うーん、

 このままこの新ハーレムに、

 呑みこまれてしまうのも悪くない気もするなぁ。


(難しく考えるな、簡単に、か)


 みんなすっかりハーレム気分だ。


「……とりあえず、今夜の結論は……宿の部屋に行った方で」


 さてさて、さあ、どうしたものか。

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