第123話 改めて話し合い ネリィは元夫と、きちんと話してくるべきだと思うのだが。
「うーん、あまり話したくは無いですネェ」
ドリアードが運ぶ移動屋敷に戻った俺たち、
一階の居間で今度は新旧ハーレム全員集合で話し合う、
本来ならこの後の、再封印についての打ち合わせなはずなのだが……
(話題は自然と、ネリィの離縁の話だ)
このあたり、別れる事自体は揉めないと思うが。
「あのラスロ様、ひとつ整理したい話が」
「ナタリどうした」「魔導都市は、優秀な魔術師の子供に出産補助金を出すんですよね」
「だよなネリィ」「はいぃ、ただ、もう借金返済に使われましたがァ」「なら、その子も優秀な人材なのでは」
首を横に振るネリィ。
「冷静に分析すると、父親は、ザブエル氏は王都においては優秀な魔法使いでしたガァ、
魔導都市においては『そこそこ』でしてぇ、その子達に関しても『そこそこプラス』という程度でェ」
「つまり、魔導都市が欲しがる程では無いと」「もちろん売れば買い取るでしょうがァ、そこまではしないザブエル氏の良識はあるようですネェ」
おそらく噂になるだろうしな、
ネリィを嫁に迎えた事で家のランクが上がったのなら尚更だ、
まあその信用も、ネリィが出て行った事で遅かれ早かれ落ちて行きそうだが。
(それも含めて、一度はちゃんと対面で話をした方が良いと思う)
このあたり、改めてネリィに問おう。
「ネリィが話をしたくなくても、相手が」
「ザブエル氏は、もっと話をしたくないかとォ」
「そういうものか」「そういうものですねェ、こちらの一方的な好意だった訳ですしィ」
……好意かぁ、一応、聞くか。
「今は、ネリィはザブエルさんについて、今は好意は」
「ゼロですねぇ、ですから申し訳ない気持ちでいっぱいデスゥ」
「そうか、その、なんかすまない」「いえぇ、私が悪いんですからァ」
こうなるとますます、
子供達をどうするかって話になってくるな。
「王都においては、良い魔法使いになるのか、あの子達は」
「魔力だけで考えたら、モノになるのは末っ子のガラダだけですねェ」
「そんなにか」「いえぇ、一番マシっていう程度で、例えばハミィよりもはずっと下でェ」
とはいえハミィだって、
王宮魔道士見習いだった訳で、
そのレベルと比べるのは少し酷では。
「例えばだが、俺がネリィに、これから行く再封印が落ち着いたら、
一旦魔導都市まで戻ってザブエルさんと話し合いをしてこいと言ったら」
「ご命令でしたら行きますがァ、話はすぐ終わるかとォ」「……それでもだ」「でしたら行きますゥ」
その時に、
子供を同行させるかどうかだな。
「やはり約十二年も夫婦をやっていたんだ、
子供だって七人も作ったんだから、別れはちゃんと対面で」
「ラスロサマがそうしろと命令されたのでしたら行きはしますがァ、ザブエル氏が煙たがるかとォ」
そこは儀式のようなものだから、
と言いたいが、儀式であればこの後、
俺と正式に結婚する、婚姻を結ぶ流れとなる。
(その状況で、後を無くした状態で俺に捨てられたら……)
想像すると、また新しいヤンデレのターゲットを見つけて、
とはいえもう子を作れない身体なんだし、そんな気力が残っているのか……
もう残されたのはこの子達だけ、って子煩悩に戻る可能性も、無くは無いが、嫌な予感しかしない。
「ラスロ」「なんだアリナ」
「心配なら、ラスロも一緒に」「魔導都市へか」
「それならお互い、気まずくならないのでは」「だがなあ」
そうするとネリィとの復縁が確定に、
だからこそなんだろうなアリナの提案は、
これ、それこそ俺も俺で決断を迫られる事に。
「そんなラスロサマに、そのような手間をとらせる訳にワワワ」
「じゃあネリィは自力でなんとかすると」「手続きはもう終わってるはずデスゥ」
「子供達の手続きは」「サァ」「おい」「こっちに来ているっていうコトはぁ、おろらくはァ」
あっちの方で、
勝手に全員、ネリィが引き取る事にされているとか?!
まあネリィが出て行ったのも勝手といえば勝手なのだが。
「まあ良い、ひとりひとりについてちゃんと考えよう、
だが今は魔界ゲート封印やら新魔王退治やらが優先だが」
「今回が終わればひと段落つきますから」「ああアリナ、その時にまた考えよう」
少なくとも、
魔界で働けなんてことは無いよな……よな?!




