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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第三章 ヤンデレ魔女のやり直し 間違えました、で済む話では無いのだが。

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第121話 ネリィに改めて直接聞く 本当に愛し合っていたのか、そして子供達の今後は

「んー、思い出したくないですねェ」

「いやネリィ、大切なことなんだが」

「それよりも、今後の話をォ」「そのために必要な話だ」


 一階の居間というか座席というか、

 本来みんなが落ち着く場所に旧ハーレムの四人、

 あとネリィの姪であるハミィも交えてのお話である。


「ということは、やはり子供達を引き取りますかァ」

「そのあたりなんだが、あの子達をネリィ自身はどう」

「ラスロサマが引き取って子供にするのでしたらぁ、喜んでェ」


 なんだかなあ、

 父親が誰になるかでその子への愛情が変わるなんて、

 結構酷い母親だ、俺の事を本当に愛しているというのであれば、そのあたりは受け入れられない。


「まず、あの子供達の母親はネリィだけだ」

「しかしザブエル氏が再婚すれば」「引き取ると思うか?」

「どうでしょうねえ」「ネリィの意思は」「ラスロサマが望むならァ」


 俺が困って黙ると、

 アリナがフォローのつもりか声を。


「ネリィはラスロが全てですから、

 今までもこれからもラスロのために何でもするかと、

 ですからラスロが命令すれば、全てその通りにすると思いますよ」


 大きく頷くネリィ、

 そんな何度もしなくても……

 姪のハミィが苦笑いをしているが。


(だからって『元の夫へ全員連れて戻れ』なんて言うと、相当不味いことになりそうだ)


 何より戦力的にネリィが居ないと立ち行かない、

 それに俺が帰って来てネリィの心が俺に戻った以上、

 先方の、夫であるザブエルさんの方も今更嫌だろう、愛が無いなら尚更。


「改めて聞くが、ネリィはそのザブエルさんの事を愛しては」

「ワーワーワー」「両耳を塞ぐな!」「勘違いしていた、恥ずかしい過去ですゥ」

「恥ずかしいとか言ったら、子供が可哀想だろうが」「そうなんですかァ?!」「いやネリィ……」


 まあ話を続けよう。


「ザブエルさんはネリィの事は」

「お金目当てですねぇ、実はザブエル氏自身も借金を」

「そうだったんだ」「ですから手切れ金さえ渡せば問題ありませェン!」


 って、ここで抱きつくなよ……

 なんだその、これで全て解決! みたいな笑顔は。


「ザブエルさんは、子供は必要ないのか?!」

「そうですねぇ、特に私の子供だからと魔力が飛び抜けて高いということは、

 確かにザブエル氏も、まあまあ、そこそこ、それなりに魔力が高い方でしたがぁ」


 ネリィの子なら、

 血統的にも利用価値が高そう、

 ってこの考え方は貴族的だな、あまり良くない。


「ラスロお兄様、だからこそ七人の子供が王都へ追い出され、いえ、送られて来たのかと」

「そうかハミィ、ハミィも気の毒に思うか」「一応は血のつながりは、ある訳ですからねぇ」

「……まあ、魔導都市で子供を売ったりしないだけマシか」「ラスロサマァ、あそこでなら、あのレベルの魔力はゴッロゴロ居ますヨォ」


 これ以上聞いても、

 心が痛むだけのような気がするな、

 ようはネリィの年金にたかって、子育てもネリィに押し付けていた訳だから。


(でも、ネリィが選んだ道ではあるんだよなぁ……)


 このあたり、自業自得であっても、

 もしくはネリィが可哀想と言えたとしても、

 子供には関係の無い話で、あの子達は幸せにならないといけない。


「……最後にひとつだけ、ザブエルさんは跡継ぎは必要ないのか?」

「そのあたりはおそらく、自分だけが良い思いをすればそれで構わないのかと」

「家を大きくしたいという気持ちは」「私が嫁いだ事で、ある程度はもう成し遂げられましたしぃ、それにィ」


 顔を伏せるネリィ。


「それに?」「私が、このネリィめが居なくなったことで、

 何か頼まれても、ザブエル氏では何もできないでしょうからァ」

「つまり、地位に見合った働きが出来ないと」「私が居なくなったから、そうですネェ」


 そのあたりはやはり、

 血統より実力主義の都市なのだろう。


「わかった、大体わかった、じゃあもうあの子達は」

「客観的に見たら帰さない方が良いかもですが、ラスロサマが困るのでしたら」

「……アスト城もおそらく、未来永劫あそこにある訳じゃないしな」「一緒に引き取りましょうカァ」


 これ、もう『何人か見繕って』って出来ないな、

 七人のきょうだい、まとめて誰かが面倒を見ないといけない、

 ただ俺もネリィも忙しい、そういう意味ではドリアード達だって忙しいはず。


(魔界送りなんて酷い事もしたくないし)


 となるとだな……


「あの子達の意思は」

「以前のように、私に、このネリィめに世話して貰いたいのでワワワ」

「まあそうだよな、あの様子を見たら」「いかがなさいまショウ」「そうだなあ」


 物凄く無責任な事を考えれば孤児院に、

 いやネリィの実の子供達だぞっていう、

 しかし父親がもう捨てたがっている以上は……


(ここは、参考意見を聞こう)


 聞いていただけの、

 旧ハーレムの残りふたりへ目をやる。


「ヨランはどう思う」

「出来るだけ早く、自立していただくべきかと」

「それには一番上の子でも、あと五、六年は」「それはまでは『支援』を」「支援かあ」


 その支援も色々だよな。


「エミリはどう思う」

「魔導都市では利用価値がなくとも、

 例えば王都でラスロとネリィの子として手続きを踏めば」「引き取り子でも価値は出る、と」


 一応は勇者のブランドが付くのか、

 その場合の行先は貴族でも下位の方だな、

 男爵とか、良くて辺境伯あたりか、それもまた酷い話になりそうだ。


「わかった、じゃあ最後にハミィからアドバイスを」

「えっ私からですかぁ」「ああ、何か良い考えはあるか?」

「んー……今までの話の流れから、きょうだい全員、ネリィ叔母さんの『弟子』ってことにすれば」


 実の子供でもあり、弟子かぁ。


「あのォ、弟子は取らない方針ですガァ」

「ネリィ、これはそんなこと言っていられる場合の話か?!」

「……ラスロサマのご命令であれバァ」「よし、ひとつの大きな候補がまとまりそうだ、その方針で考えて行こう」


 あの子達が幸せになるのであれば、

 俺の名前を使って貰っても構わないが、

 しかしネリィがなぁ……このあたり、まだまだ考えないとな。


「……そういえばエミリ、ずっと何を見ているんだ?」

「ラスロの頭上の芽が、様々な反応をしていて少し面白くて」

「あっ、ひょっとして俺の言葉にずっとリアクションを」「少し可愛かったわ」


 無視していたみたいになって申し訳ないな、

 とりあえず撫でて誤魔化しておこうっと……。

 ところで話し込んでいたが、今ってどこまで来ているのだろうか???

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