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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第三章 ヤンデレ魔女のやり直し 間違えました、で済む話では無いのだが。

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第120話 ネリィの夫について まさかそんなことに、いやこれ俺のせいなのか?!

「……という訳で、私は叔母の旦那であるザブエルさんについては、

 薄い印象しかありません、もちろん叔母さん自身はそれはそれは幸せそうでしたが、

 旦那様はその、なんというか、事務的な作り笑顔で察していただいた感じと表現して良いかと」


 ハミィが所用で魔導都市へ行った時、

 いや高レベルや高役職の魔法使いはみんな数回は行かされる、

 もっと言えば王都の魔術学院の修学旅行先でもあるらしいが、それでネリィの嫁ぎ先で会った時の印象だ。


「では相手の反応は薄かったというか、いまいちだったと」

「もちろん夫としての振る舞いはしていましたが、ザブエルさんのご両親や、

 姉のジスラさんがやたらフォローを……それで今回、気になって子供達にも聞いたのですが」


 なんだか、思っていた『幸せな家族』では無さそうな気配が。


「子供達は、なんと」「それが、姿は見せるものの、あまり構っていただけないと、

 共通認識としては『ママがパパを好き過ぎて、ママが独占している』という形で、

 もちろん子が話し掛ければ受け応えはするのですが、聞いた話、特に上の子の話を聞くと……」


 まさか。


「子供に興味は無い、と」「当事者に近い叔母さんからも話を聞いたのですが、

 結婚の条件に子育ては自分が全てすると、ただ、人数が多くなったときにザブエルさんが、

 旦那さんですね、同居する義両親や近所に住む義理の姉を使っても良いと」「それは……仕事一筋ってことか?!」


 首を横に振るハミィ。


「これはこれまでの、全ての情報を集めて出た結論なのですが、おそらくは、

 ネリィ叔母さんが一方的に愛しているだけで、旦那さんはそれほど、下手するとほとんど、いえまったく」

「愛していなかった、と」「それでも叔母は物凄く幸せそうでしたが」「なんだか話が変わってきたな」「はい」


 本当にラブラブで愛し合っていた子沢山な夫婦が、

 昔の男が生きていたからと、妻が全てを捨てて舞い戻って行った、

 こう聞けばそれこそ酷い言葉でも投げかけたくなるが、夫側から愛は無かったとなると……


「じゃあ、なぜ結婚したんだ」

「理由は大きくふたつ、魔導都市においてそれぞれの地位は血統による箔が大きく左右されます」

「じゃあネリィは」「魔王討伐パーティーの魔法使いですからね、それが嫁入りした家となると」


 つまりは政略結婚か。


「もうひとつは」「実は先ほども話にあった、ジスラさんなのですが」

「ネリィが嫁いだ旦那さんのお姉さんね」「その家が、厳密にはジスラさんの夫が、結構な借金を」

「お金目当てかぁ」「もちろん持参金もありますし、魔王討伐の報奨金に加え、特別年金も毎年、と」


 聞いただけで結構な額が想像できるな。


「それでご機嫌取りに子作りを」

「いえ、魔導都市において一定の高ランク魔法使いは、子供を作ると報奨金が」

「そんなシステムが」「しかも叔母のランクは最高級ですから、打ち止めになるまで」


 で、子作りし過ぎてもう産めない身体に、

 でもそれで幸せが成立していたのは、ヤンデレの愛があったからこそ、

 それが元の、ヤンデレの矛先が戻ってきたとなると……だからって許される事なのかっていうのもあるが。


「ネリィはどうしてそんなザブエルさんを」

「ラスロお兄様が戻って来たからこう言ったのかも知れませんが、

 叔母は私に『今となっては、あの時の私は誰でも良かったのかと』だそうで」


 両者に得があるとはいえ、

 ひでえ話だ、これもアリナの命令のせいか、

 俺のために、死んだ俺が幸せを望むであろうから、と。


(死んでりゃその通りなんだがな)


 だからこその、

 生きて帰ってきたから……

 それにしても子供達が気の毒過ぎる、いやこれ俺のせいなのか?!


「じゃあ、子供達は父親から、やっかい払いされた訳だ」

「貰えるお金は出産した時だけですからね、これから育てるお金も必要ですからぁ」

「だからって俺たちが引き取ってもなあ」「あら、魔界なら働き口はいくらでもあるわよ」


 なぜかここで会話に入って来たアスト、

 興味無いんじゃなかったのかよ……とはいえ、

 今現在、あの子達の面倒を見てくれているのはドリアード達だ。


「アスト様、それはいったいどういう、例えば苗床とかでしょうか」

「ミオス、それは無い」「あらラスロ、フォローしてくれてありがとう、

 そうね例えば、『歌唱樹』という歌う樹があって、それは褒めると良い実が生るの」


 あぁ、アレかぁ……

 俺はちょっとしたトラウマを思いだし、

 頭を抱える……確かにあの実は美味しいのだが。


「その樹を褒める仕事ですか」

「ええ、人間は褒め方が上手いから最適よ、ねえラスロ」

「ああそうだ、魔物は正直だからな、感想で嘘をつけるのが人間だ」


 そう、あのくっそ酷い歌声は、もはや拷問に近い。


「他にも人間だからこそ任せられる仕事は沢山あるし、

 ラスロもそれで食い扶持を稼いでいたわ、もちろん私達も手伝って、

 一番儲かったのはサキュ」「よし、俺がネリィから直接、話を聞いてこよう!」


 立ち上がった俺、

 そして階段の方へと……


「では私もぉ」「ああハミィ、頼んだ、それではアスト、行ってくる」


 思い立っただけだ、

 決して恥ずかしい話をされそうになったから、

 逃げたという訳じゃないぞ、ああ、決してなっ!!


(ちらっと見たアストがニヤけてたのは、気のせいにしておこうっと)


 さあ、ネリィとどう、話し合おうか。

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