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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第三章 ヤンデレ魔女のやり直し 間違えました、で済む話では無いのだが。

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第119話 ベテラン聖女の封印チェック 完璧であっても、どうしても許せないこともある

「こ、こっ、これはあああああ!!!」


 教会の裏庭、魔法組の四人が巨大な結界魔方陣を作って見せる、

 とはいえアストが隔離されているため術式と立体結界の形を確認するだけ、

 これにアスト自身が一緒に魔力を込めれば完成だが、聖女ハンナ様なら見ただけで威力は想像できるはず。


「ハンナさん、どうでしょうこの結界、何か月くらい持ちそうですか?」

「いけません、これはいけません」「えっ、何か欠陥でも?」「これ自体は完璧と言って良いでしょう」

「完璧なら良いのでは」「モノが完璧でも、これは許すことは出来ません!」「えっ、なんで???」


 ふうっとため息をつくハンナさん。


「それは……」「それは?!」

「これは、禁呪だからです!」

「えええええ」「魔物の使う術式を組み込むとは、何事ですか!!!」


 そんな目をひん剥かなくとも、

 俺の頭上の芽も驚いて仰け反っているし!


(隔離された時、またつけられました!)


 だから素直に従ったのか。

 それはともかく、今更ここで禁呪とか言われても。

 どう説明しようか、と思ったらアリナが前に出てくれた。


「平和のためです、国王陛下も認めてらっしゃいます」

「しかし神聖な光魔法に、魔物が唱える術式を織り込むなど!」

「ハンナ様、緊急事態ですから、アリナ様も私も、これしか方法がないと」「そうであっても、許せません!!」


 ミオスもフォロー、

 それにしても、ハンナさんがこんなに激高してるの見た事ないな、

 それだけ禁忌に触れている行動なのだろう、俺は頭上の芽を撫でてあげる。


「責任があれば俺が取ります、悪名が出るなら俺が被りますよ」

「私はそれに関われません! くれぐれも私が許可したなどという事には」

「あー、わかりました、これは俺が勝手にやった事です、罰があれば俺が受け入れます」


 まあ『完璧』という言葉を引き出せた時点で、

 封印の最終チェックという用事は済んだんだ、

 ハンナさんに嫌われたのは心苦しいが、さっさと出発しよう。


「ラスロ、どうした」

「ヨラン何でもない、もう出発しよう」

「ではハンナ様、失礼致します」「あぁ……アリナ、汚れた聖女になってはなりませんよ」


 まあいいや、

 もう用は済んだってことでさっさと逃げよう、

 目を醒ました時に十分に謝ったし……おでこを地面にこすり付けてまで。

 

「ではルバークを出よう、馬車もといドリアード達は……あっ、来た」


 俺の頭上の芽で状況は把握してるからね、

 行動が速いな、街の衛兵が焦ってら、まあいいや。


「モウオワリカ」

「ああ、みんな揃って……エミリとナタリがまだか、って来たな」

「もう出発するのね」「一応、軽く買い物をして参りました」「じゃあ行こう」


 みんなドリアードの枝に運ばれて移動屋敷の中へ、

 もうこれ、そろそろ呼び名を固めた方が良いな馬車じゃなく何だろう?

 最後に俺が入ろうとすると真上から容赦なくアストの伸びた枝に捕まり天窓へ……


(街の衛兵が構えちゃってるな)


 話は通っていても、

 やはり魔物は怖いか……

 俺は安心させるため、笑顔で手を振る。


「じゃあ封印の補強をしてくるから!」


 ということで出発だ、

 ハンナさんには悪い事をしたが、

 帰りに寄って話す暇とかあるかなあ……?


「おかえりラスロ」

「ああ、寄り道をして済まない」

「最後に私の所へ帰ってくれば、良いわ」


 やっぱり俺は、

 魔界へ帰らないといけない流れなのか……?!

 とりあえず落ち着いて座る、いやアストの胸の内に座らされる。


「さて、ここから先はほぼノンストップだな」

「その間、どうする? ラスロ、子作りでもする?」

「いやいや、何が産まれるんだよ!」「それは、そちらの世界で言う……」


 コンコンッ


「ラスロ様」「ミオスか、どうした」

「少しわかってきた事が」「アスト、入れて良いよな?」

「ええ、どうぞ」「失礼致します」「あっ、みんな来たんだ」


 みんな、と言っても新ハーレムの四人だ。


「ラスロお兄様、とりあえず情報をまとめました」

「えっハミィ、何のだ?」「叔母さんのです」「ネリィのか」

「はい、叔母さんが語りたがらないので私の回想も交えてですが……」


 つまりはネリィが結婚した後の話か。


「って、ここで話してもいいのか」

「はい、アストさんさえ良ければ」

「私は興味無いわ」「だそうだ、場所変えるか?」「居ても良いわよ」


 触手のツタで新しいコップを出し、

 人数分のジュースを用意してくれるアスト、やさしい。

 そして俺は解放され、部屋のテーブルを囲み、みんな落ち着いて座る。


(さて、話を聞こう)


「ではハミィ、話を頼む」

「はい、私が叔母さんが結婚すると聞いた時には、もう王都を発っていて……」


 ここからの話は、

 色々と考えさせられるものであった。

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