第113話 一応は解決 でもそんなに、全面的に信頼しても良いものなのか
「うっわ、ドリアードが、思いっきり面倒を見てくれている」
広い部屋は木製のおもちゃがいっぱい、
ていうか自分の足を滑り台にしてあげているのも居るな、
普通に遊んであげたり、真面目に勉強している子もいるし……
(あっ、子供のひとりが僕らに気付いた!)
ネリィは……一番後ろで隠れているな。
「ハミィお姉ちゃん!」
「えっ、じゃあママは?」
「おかあさまはどこなのー?」
俺はあえて捕獲して、っと。
「はわわわわァァァ」
「ママだママだ」「ねえママー!」
「お母さん!」「オカーサマァー!!」「やっと会えたー!!」
わちゃわちゃと、
一気に群がられる!
あーあ、揉みくちゃにされてら。
「み、みなさん、落ち着いて」
「ママ、みなさんって、ぼくたちのことー?」
「とにかく、みなさんはもう、私の子供という事実はあってもですねぇ……」
逃げ場が無いと、
さすがに狼狽えるか。
「ねえママ、帰ってくるって言ったよね?」
「デスからぁ、ラスロサマと、魔界との入口をですネェ」
「ママのごはんが食べたーい」「ねーママはママでママだよねー?」「こんやいっしょにねよー」
あっ、ネリィが俺に逃げてきた!
「んー、ラスロサマ、どうしまショ」
「いや、その説明はネリィの仕事だろう」
「ではですネェ……はい、集合ーーー!!」
いや、もう大集合しているだろう、と思ったら……
「「「「「「「は~~~~~~~い」」」」」」」
綺麗に並んだ、
つまり、そういう合図か。
「まずはですねぇ、私は夫を間違えました、まあこのあたりは省略、
そしてですね、この国は再びピンチで、世界を護る作業をしなくては、なりませんっ!」
「おしごとー?」「そうなのです、それが終わるまで待っていて下さい」「でもパパはママの所へ行けってー」」
うん、問題はそこだ。
「私が国を救う作業中、ここで面倒を見て貰って下さい、ねっラスロサマ」
「ええっと、ドリアード、迷惑じゃないのか」「アストサマガ」「あら、騒がしいと思ったら」
城主登場、
上の階からアストが階段を降りてきた!
「アスト、すまない」
「いえ説明は聞いたわ、ラスロが引き取るかも知れない子供達だって」
「それでか」「ええ、ともすれば私の子って事にもなるのだから」「ソウイウコトダ」
それでドリアードも忠誠心で、
なんだか騙しているみたいで申し訳ないっていうか、
そうなると俺が引き取らないとまずいみたいじゃないか。
「ていうかネリィの子供達は、ドリアードは怖くないのか」
「最初は怖かったー」「もう慣れました」「おともだちだよー」
一番下の子かな、はずっと、
ドリアードの根を一本はむはむしている。
「アリナ、どう思う」
「とりあえずはこれで解決では
「えっ、いいのか」「誰も不幸になっていませんが」
まあ確かに。
「ていうかドリアード増えてないか?」
「コウタイノタビニ、オオメニツレテキテイル」
「ラグラジュ大森林からか」「アソコモ、セイアツデキソウダ」
あっちもあっちで、
再封印しないといけないんだよなあ。
「よしわかった、とりあえず感謝する、ありがとう、
だからこの達に種とか仕掛けるのはやめてくれよ」
引き取らないって確定したとたん、
両手足が木の根っこになったりしたら、
トラウマどころじゃ済まないからなぁ。
「だからそういうことはやらないわ、
ほんっとラスロ、疑い深いわねぇ」
「いやアストごめん」「なにかよっぽど後ろめたい事でも?」
だからなんだよなあ、とは言えない。
でもまあ、全面的に信頼して良いものかっていうのがありながら、
それに甘えてしまう俺が居る、それは魔界で十二年間、世話になった実績があるからだ。
「一応は解決だ、ネリィも頭下げて礼を」
「はいぃ、アストサマ、ドリアード部隊サマ、
まことに、ほんっとうに、ありがとうございますぅ、ぺこり」
ふう、これでとりあえず、
もう心配なく旅立てそうだ。
「それでラスロ」「おうアスト」
「今夜はここへ泊まっていく番よ?」
「えっそうだっけ」「三階で待っているわ」
これはまあ、
今夜は断れないか。
……もちろん変なことはしないからな!
(したら身体に何かされそうだ)
いざ再封印の時、迫る。




