第111話 出発へ向けての準備 しかし、思いもよらぬトラブルが
「えっ、馬が怖がっていう事を聞かない?!」
「はい、悲鳴をあげて暴れてしまって……見ていただければ」
今回も俺の出てきた魔界ゲート再封印のため、
みんなが乗る馬車を運転してくれるはずだったダンジュくんにに、
思いもよらぬトラブルを聞き、王城の庭に連れてきたという馬車を見に行くと……
「ラスロ」「あっ、アスト」
「私を思いっきり怖がっているわ」
「……まあ、魔物だからね」「ナニモシナイノニナ」
衛兵のドリアード達も困り顔だ。
「これは困ったなぁ」
「はい、アスト様が馬車の中へ入れるか、
どのくらい窮屈かといったテストだったのですが……」
これはもう、
入る以前の問題になっているようだ。
「一応、確認だがアストではなくドリアードを怖がっているとかは」
「まず最初に近づいた時、馬があきらかにアスト様を怖がっていました」
「確かめてみましょう、一度下がりなさい」「「「「ハハッ、アストサマ」」」」
さささささーーーっと塀の向こうへ、
女性の悲鳴が聞こえたけど今はいいや、
おそらく事情を知らないメイドか誰かだろう。
「視界から消えたようですが、やはり」
「……駄目っぽいな、アスト、どうにかできるか?」
「そうね、種を植え付ければ」「それはまずいだろう」「馬の使い捨てになるわね」
嫌だぞ、お城に戻ったら馬が減って大木が増えてるのは。
「うーん、馬が駄目なら……あっそうだ、ドリアードもういいぞ!」
「「「「ハハハッッ」」」」「ていうか俺の言う事、聞いてくれるんだな」
「ムコドノダカラナ」「アストサマノ、ダンナサマダ」「いやいや、まだ早い」
ていうか旧ハーレム、
新ハーレム以外に選択肢が増えるのは勘弁だ。
「ラスロ様、もしかして」
「ああダンジュくん、ドリアードに馬車を引かせよう」
「ナンダナンダ」「ナニヲサセルンダ」「タキギニサレルノハ、カンベン」「しねえよ!!」
ということで、
走らせてみると……!!
ガラガラガラガラ
「あー、馬車が速過ぎて車輪が壊れた」
「ナンダコノノリモノ」「ヨワイ、ヨワスギル」
「うーん、どうしようか」「ねえラスロ、ドリアードに担がせるのは駄目?」
その発想は無かった!!
「ヒメノ、ゴメイレイダ」「モチアゲルゾ」「ヨイショ、ヨイショ」
「よし、そのまま走ってみてくれ」「「「「オオオオーーーー!!!!」」」」
うっわ、速えぇぇぇ……
車輪が無い方が速いってどういうことだよ!
「あっ、アストって実はここまで」
「ええ、ドリアードに乗ってきたわ」
「それで解決では」「雨が降ったら困るわね」
俺たちの前で急停車するドリアードたち。
「ナラバ、ヒメトラスロガ、ハイレルコヤヲ、ツクルゾ」
「イドウシキノ、アイノスダ」「ナカデドレダケ、ハゲシクユレテモ」「揺らせねえよ!」
「あら、ラスロって結構、寝返りを打ってたわよね」「ああ、気が付いたらナルガに巻きつかれ、ってそういう意味かよ!」
やべえ、魔界でのツッコミ癖が。
「ええっとダンジュくん、ドリアードは運転できるかな」
「道を教えれば良いんですよね?」「アンナイハ、マカセタ」
「デハ、ミチアンナイセキヲ、ツクロウ」「ニカイダテ、イヤ、サンカイダテニスルカ」
ということで急遽、
馬車ではなくドリアードが乗せて行ってくれる事に。
「これ、途中で寄る街や集落がパニックにならないか?」
「今日にでも伝達を出しましょう、驚いたり攻撃したりしないように」
「ダンジュくん済まない」「というか、私も少し怖いのですが」「ナンダ、ナサケナイ」「ひっ!!」「こら、顔を近づけるな!」
とりあえず足は何とかなるかな。
「知っていると思うが人間は脆い、急発進とか急停止は極力やらないように」
「ワカッタ」「カツグコヤモ、ガンジョウニスル」「マドハ、チイサメニスルカ」
「そのあたりの詰めもダンジュくんと、できるか」「まあ、普通に会話するくらいは特に怖くは」
その打ち合わせに、アリナやヨランも呼ぶかぁ。
「それでラスロ」「どうしたアスト」
「ちゃんと封印が済んだら、婚姻について話を詰めてくれるのよね?」
「あ、ああ、詳細な話を決めよう」「良かったわ、もう逃げないでね」
(いや、もう逃げ場なんて無いから!!)
さて、次はいよいよ、
ネリィの子供たちについて、だな。




