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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 エルフに嫁いだ弓使い しかし本当に愛する人が戻ってきた以上、抱きしめずにはいられない!

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第108話 完全に治ったマザーツリー 流れで、まさかの新メンバーを迎え入れる事に!

(あっ、マザーツリーがざわざわしている)


 あきらかに揺れ動いている、

 これは力が漲っているのか。

 それとも喜んでいるのか……


「おお、これは、マザーツリー様が、恍惚の表情に!!」


 わかるんだエルフのおじさん!

 いやドリアード族じゃないんだから、

 顔なんてついてないぞ? と思ってそいつらを見ると……


「エクシタシー、シテイルナ、エクスターナウ、トイウカンジダゾ」


 絶頂しているのかよ樹が!

 いや、それならどっちかというと、

 マザーツリーではなくアルラウネのアストの方じゃ。


「アリナ、わかるか?」

「魔力が漲っているのはわかります、ただ」

「ただ?」「なんと言いますか、一言で表現すると『反則』とでも言いますか」


 更にミオスが言葉を加える。


「いわば禁呪の種類とでもいいますか、分かり易く言うと『麻薬』でしょうか」

「おいおい、良いのかそれ」「適量であれば薬ですよ」「まあそうだが、中毒になったりは」

「ラスロ様はどうでしたか?」「……おーいドリアード、あとどのくらいかかる」「マモナクダゾ」


 エルフの連中はなぜだかひれ伏しているし!


「あぁ、力が、精霊の魔力が、蘇って……!!」

「ここまで、ここのマザーツリー様が強くなったのは、初めてです!」

「凄い、これは、エルフの森でもそうめったに……いや、むしろここをエルフの森に出来る!!」


 さすがにそれは困るぞ、

 城どころか王都全体が森に覆われたら、

 エルフにとっちゃ天国でも人間に取っちゃ迷惑だ。


(ひょっとして、これならエミリたち、帰る必要が無かったんじゃ)


 まだ出て行ったばかりだ、

 気配を感じて引き返してきてもおかしくない、

 とはいえ揉め事を解決するためには、一旦帰って貰った方が良い気もするが。


「……おーいアスト、大丈夫かぁーーー」


 返事は無い、

 集中しているのかそれとも……

 ドリアードが、さささーーーと言ってくっついたのち戻ってきた。


「ダイジョウブ、ダソウダ」

「わざわざ聞いて来てくれたのか」

「モウチョット、アトチョット、コノアトスグ」


 とはいえ植物の感覚だからな、

 少し横になりますって言って丸四日眠られた事がある、

 まあ、あの時は魔王戦をみんなで戦い終えた後だったが……


「そうそう、ドリアード達にお願いだが」

「ドウシタ、ヤッカイナコトナラ、アストサマニキョカガ」

「そうじゃない、あんまり人間の子供に近づくなよ、普通に泣く」


 ネリィは普通にぺたぺた触ってら。


「ウチの子たちなら平気そうですネェ」

「そういえばネリィの子についても問題が」

「欲しければいくらでも持ってきますヨォォォ」「いや子猫じゃあるまいし」


 魔導都市に帰したらしいけど、

 方法は何度聞いても秘密らしい。


「オワッタゾ」「えっ」


 マザーツリーから、

 なんとなく、ぬめーーっと分離されて出てきた、

 そしてあきらかに樹の、葉の色がみずみずしく輝いている!


(花まで咲き始めたぞオイ!)


 それを見て何度も何度も土下座するエルフたち、

 マザーツリーに、そして……アルラウネのアストに。


「ありがとうございます、ありがとうございます」

「精霊様、いえ、精霊神様、この御恩は一生忘れません!」

「あぁ、もうここから、このマザーツリーから離れられない……!!」


 涙まで流してら、

 そしてなんというか、

 すっきりしたような表情のアスト。


「さあラスロ、ラスロのために頑張ったわ」

「ああ、ありがとう、それでだな、その、なんというか」

「新しい魔王の討伐でしょ、いっしょに頑張りましょう♪」


 あっ、アストの方から仲間に入る気、満々だ!


(樹だけにな! というのは心の中だけに留めておこう)


 そこへアリナが何か持ってきた、

 両手にそれぞれ大きな石を、何だろう。


「一応テストを、アストさん」「はい」

「片方の石を高く投げ、もう片方の石をそれにぶつけてみてください」

「どのくらいの高さで」「高ければ高い程、合格です」「わかりました」


 ふたつの石を受け取ったアスト、

 上空を見上げて、まずはふりかぶって……


「えいっ! ……えいっ!!」


 ひょいっ、とマザーツリーより高く投げ、

 続いて投げた石がぐいーーーんと追いかける、

 いやこれ、しなやかな投げ方だなあの樹の腕は。


 ガチコーン!!


 見事に命中、

 これはアレだ、ラグラジュ大森林で、

 光魔石を使ってエミリが弓矢でやったやつだ。


(と、いうことは……)


 アリナも頷いている。


「合格です、エミリさんの代わりは務まりそうですね」

「だそうよラスロ」「お、おう、そうか、まあ、よろしくな」

「また一緒に旅が出来るのね」「旅って言う程はどうか、まあ頼む」


 こうして俺たちは、

 弓使いエミリの離脱直後に、

 魔物アルラウネの姫、アストを新メンバーとして迎え入れる事となったのであった。


(……で、どこで住むんだ?!)

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