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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 エルフに嫁いだ弓使い しかし本当に愛する人が戻ってきた以上、抱きしめずにはいられない!

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第104話 エルフの夫が語る真実 都合の良い言い訳、そこへやってきた突然の報せが!

「……初めは、その通りだったさ」


 表情をおそらく曇らせながら語るエミリの夫、

 エルフのハルラさん、しばらく沈黙したのち、

 エミリの身体を素早く抱きしめて、耳で囁く!


「しかし、君をエルフの森へ連れて行ってからは、

 本当に、本気で好きになったんだ、最初のきっかけはそれでも、

 すぐに『真実の愛』になった、最初の数か月が嘘でも、残りの十一年は」「もういいわ」


 無理矢理に振りほどくエミリ、

 そしてすぐに俺の方へ来ては、

 今度は抱きしめるのではなく、俺の胸元へ抱きつく。


「ごめんねラスロ、やはり私は騙されていたの」

「い、いや、まあ、そのだな」「聞いてくれ、エミリへの愛は本物だ!」

「私には、『初めはその通りだった』と認めた時点で終わりの話よ」「エミリ!」


 つまりはアレだ、騙して連れ出したという事実の時点、

 最初に愛も無く、エルフの面目(メンツ)だけで結婚した、

 その事実だけで、後はいかに愛していようは関係なく、話は終わりだと。


(厳しいなあ、子供をふたり儲けておいて)


 とはいえ俺の所へ戻る理由としては十分という訳か、

 そのために、そのためだけにわざわざ真夜中のマザーツリーにまで呼んで……

 まあ当然だが確かに、エミリの子供達には聞かせられない話ではあるのだが。


「ねえラスロ、許して頂戴、私は今後一生、エルフは信用しないわ」

「でも、だが子供達は」「……ねえハルラさん、もし少しでも罪悪感があるなら」

「エミリ、あんなに愛し合ったじゃないか、エミリも言った、エミリの心をこの私が救ったと」


 十一年半か、それだけの年月のうちほとんどを本気で愛し合ったんだ、

 きっかけがどうこうで済む話では無い気がするのだが、そのあたりは男の側の意見か、

 もしそれでエミリが本当に、心の底から『騙された』と思って嫌悪感を抱いたのであれば……


(だが、これはあきらかに違う、俺と寄りを戻すための言い訳に使われている)


 そう、もはやハルラとの十一年半が、

 エミリにとって、エミリの言う『どうでもいい』時間になってしまっている、

 もはやそうなれば、理由をいかにうまく前に出し、別れるかという話なのだろう。


(ここであえて、俺が『よしわかった、エミリをハルラに譲ろう』と言ったら、どうなるか……)


 いやいや、俺はまだ捨てると決めた訳じゃない、

 もちろん復縁するとも決めていないし、今ここで決められる訳でも無い、

 まだまだ、魔界とのゲートを完全封印するまでは迷わせて欲しいのだが……


「ハルラさん、エミリの心はどうしても、俺に戻りたがっているらしい」

「らしいじゃないわ、戻って来たの、戻りたいとかじゃなく、もう、戻ったの」

「私はエミリを愛している、今までも、今も、これからも」「騙した時点でその資格は無いわ」


 うーーーん、すんげえややこしい……

 俺がエミリから身を引いても、逆に貰っても、

 とてもすぐに終わる話では無さそうだ、となれば……


「……ここで俺からの提案なんだが」

「なあにラスロ」「勇者ラスロ様、何でしょう」

「クールダウンという訳では無いが、もう少し考えてみないか、時間を置いて」


 もしくは、時間を作って。


「ラスロ、それはもしかして、先送りということ?」

「そう受け取って貰っても構わない、今は魔界ゲート封印が最優先、

 子供だって居る話だから、その子供も交えて慎重に考えないといけない話だ」


 その俺の言葉に、

 バッと前に出るハルラさん、

 ようやく顔が、表情が見える、うん、男前だ。


「私は一刻も早く、エミリを連れて帰りたいのですが」

「そのエミリが魔界封印のための仕事中、平和のために働いているんです、

 どっちみち時間はかかるでしょう、ですから逆にその時間を利用して」「時間の無駄よ」


 冷たい声のエミリ、

 それはやはり、ハルラに向けてのもの……

 少なくともエミリの意思だけは、はっきりしている。


(いや、ハルラさんもか)


 よって時間が欲しいのは、俺だけか。


「それでも俺とエミリ、ハルラさんとエミリ、それと俺とハルラさんで話を……」


 と、ここでひとりの影がこちらに走ってきた!


「お父様、こちらでしたか! なぜこんな所に!!」

「ララル! こんな時間に」「お母様も! 丁度良かった!!」

「どうしたの、血相変えて」「エルノが……エルノが高熱でうなされて、死にそうなんですっ!!」「「なにっ?!?!」」


 声を合わせたエミリとハルラ!


「エミリ、行こう!」

「ええハルラ、家はどこ?!」

「こっちだ、ついてこい、エミリ行くぞ!」「はいっ!!」


 俺は少し待ったのち、声をあげる。


「ナタリ! ナタリ、どうせ隠れて見ているんだろう!!」

「……はい、ラスロ様」「至急、アリナとミオスに連絡を」

「かしこまりました、すぐにハルラの家まで」「……さて、俺も追いかけないとな」


 大事に至らなければ良いが。

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