第3話「魔法国への道」
アリスとの魔法修行を続ける僕だったが、ある日のことだった。
「ここまで魔力が上達したら、試験を受けて魔法師の免許を取るべきね」
アリスの提案を受け、僕たちは旅の目的地を魔法国に定める。魔法師試験に合格すれば、魔法を扱う資格が得られるらしい。
旅の途中、吹きすさぶ強い風魔法に阻まれるが、僕の火の魔法で焼き払う。
「お見事、タロウ!」
「かわいそうな魔法だったけどね」
障害を越えて魔法国にたどり着いた時、そこは思い描いていた以上に華やかな国だった。
「いよいよ魔法師試験だ...」
緊張する僕をアリスが励ます。試験では想定外の魔法も求められるが、僕は見事に克服していく。
「君の魔力は秀でている。合格だ」
試験官は僕の力を認めた。
魔法国での試験に合格した僕は、正式な魔法師の免許を手に入れた。アリスと街を見て回ると、多くの人が僕たちを見て驚いている。
「あの二人は強い魔力を持っているようだ」
「なんだかとても目立つわね」
アリスが困惑しながらつぶやく。僕たちのことを知っている人はまだいないはずだ。
その頃魔法国の地下組織では、ある計画が進行していた。
「我らの目的を遂行するには、強力な魔力の持ち主が必要不可欠だ。さて、誰を捕らえれば良いだろう」
「我らのスパイの報告によると、新しく魔法師の免許を取った若者がいるそうだ。非常に強力な魔力を秘めているらしい」
「ふむ、その若者か。人捜しを始めるのだ」
組織の野望の餌食になることに気づかない僕は、アリスと街を散策していた。
「この国でも魔法を学ぶことができるみたいだね。もっとうまくなりたいな」
「その熱意、素敵ね。ずっとあなたを応援するわ」
アリスの言葉に力づけられ、僕は魔法修行を続ける決意を新たにしたのだった。
魔法国での生活を始めた僕たちだったが、ふとしたきっかけで謎の追跡者に気づく。
「どうやらあの人たち、僕たちを追っているみたいだよ」
アリスもそのことに気づいていた。
「私たちに何の用なのかしら」
その夜、宿屋に吹き込んできた風に乗って、ひそひそ話が聞こえてきた。
「目標の魔力者を捕らえる準備はいいか」
「任務完了までは目を離すなよ」
屋根の上で囁き合う追跡者の姿があった。僕とアリスは息を潜める。
「なんだかこの国にも隠れた狙いがあるみたいね」
「ええ、誰かに魔力を奪われそうよ。要注意わ」
アリスは警戒する。
翌朝、追跡者に気づかせないよう細心の注意を払って街を歩く。
「この先どうしたらいいのかな」
僕が立ち止まると、アリスが言った。
「逃げるのは賢明ね。私、この街から出る方法を知っているの」
アリスに導かれ、秘密の通路を抜けて街から脱出する僕たち。追跡者の目を逃れることに成功したが、これからどうなることやら。
アリスの案内で魔法国から脱出した僕たちは、しばらくすれ違う人もない山道を歩いていた。
「ここなら追跡者に見つからないと思うけど...どうする?」
アリスは少し疲れた表情で言う。
「えっとね、この先に小さい村があるの。そこで情報を集めるといいわ」
案内されるまま、見えてきた村に足を運ぶ。村の酒場で耳にした酔っ払いの男の会話。
「この国の者どもが、何を企んでいるのかねえ」
「王は黙ってて、地下組織がうようよしてるんだ」
政情不安を示唆する情報に、僕はアリスを見る。
「どうやらこの国、表と裏があるみたいね」
アリスは迷った表情で首をかしげる。
「ええ、国王にも秘密があるのかもしれない」
「どうする?このまま逃げる?」
アリスはしばらく考え込んでいたが、こう言った。
「いいえ、この国の真実を突き止めるべきよ。タロウと一緒ならできると思う」
僕も同意見だった。
「そうだね、逃げないで真相を暴こう」
目的地を定めるなり、アリスと僕は国王の住む魔法国の中心都市へ向かうことにしたのだった。