第2話「魔力の覚醒」
アリスと森を抜けると、目の前に小さな村が現れた。
「この村はアルフィ村という名前だよ。ここで少し休憩しましょう」
案内されるがまま、村の中にある旅籠に入る。
「ふーむ、あなたは転生者のようだな」
突然、傍らに座っている老人が声をかけてきた。
「はい、ここでの常識がよく分からないので...」
「良いとも、お前さんの魔力を覚醒させてやろう」
老人は杖を持ち上げ、不思議な言葉を唱え始める。杖先から光が溢れ出し、僕の身体を包む。
すると、頭の中に魔法の式が浮かび、身体の奥底に眠っていた力が目覚めるのが分かった。
「これでお前さんの魔力は覚醒した。使い方を習得すればな」
「ありがとうございます!」
ひとまずこの世界で生きていく力を手に入れた僕は、アリスに魔力覚醒を報告する。
「タロウ、魔力を得たのね。それはとても良いことだわ」
アリスは嬉しそうに言う。
「そうだね、これから魔法を練習していけば、強くなれるはずだ」
「その通り。私も魔法が得意なの。一緒に鍛練していきましょう」
アリスとの魔法修行、そして魔法の国を目指す旅が始まった。
アリスと二人で旅をしながら、僕は基本的な魔法の練習を始めた。杖を使って小石を浮かせたり、火の玉を作ったりする魔法を習得していく。
「ふむ、タロウの魔力はとても高いようだ。大成するかもしれない」
褒められると嬉しくなる。
「アリスも上手だよ。一緒に鍛練していこう」
「ええ、そうしましょう」
アリスは少し照れながらも、僕を見守ってくれている。
そのころ、魔法の国の秘密結社では、ある計画が進行していた。
「我らの目的を果たすには、封印を解く必要がある。しかしそのためには、超強力な魔力の持ち主が必要だ」
「では我々は、そのような魔力の持ち主を...」
「そうだ。探し出して、封印解除の儀式に利用するのだ」
邪悪な秘密結社の目論見が、静かに進行していく。
一方その頃の僕は、魔法の腕前がだんだん上達してきたことに気付いていた。
「俺、結構才能があるみたいだね」
「ええ、タロウは魔法に向いているわ。でも油断は禁物よ」
その日も夕方、僕とアリスは森の中で魔法の修行をしていた。火の魔法を練習中、僕はふと横を見ると、アリスが傷付いていることに気づいた。
「アリス、その傷は?」
「あ、これはさっき木に引っかけたの。平気平気」
アリスは傷を隠そうとするが、僕は見過ごせなかった。
「そんな傷で大丈夫か? 治療魔法を使おう」
「え、でもタロウはまだ練習段階でしょう。私は平気なのに」
アリスは必死に止めるが、僕は耳を貸さなかった。治療魔法は難しいが、アリスのためなら使ってみる価値がある。
僕は杖を傷に向け、回復の呪文を唱える。すると奇跡的に傷が癒え始め、完治した。
「わあ、うまくいった! こんな難しい魔法が!」
アリスも驚いている。
「タロウ、予想以上の才能があるのね。これからもっと強くなれるわ」
「ありがとう、アリス。これからも一緒に頑張ろう」
僕はアリスを助けられて嬉しかった。二人で支え合い成長していく日々が、これからも続いていくのだろう。




