魔法全部使える──んだけどなぁ……。

　極度の優柔不断を患った青年、木目カネルはある日、その性格が原因で電車に跳ねられ死亡してしまう。次に目を覚ましたのは真っ暗な空間。カネルはそこで、一人の「神」と出会う。
「──はじめまして、私は『自由の神』ニート」
　ニートはそう名乗った後で、一度死亡したカネルを異世界に転生するのであった。

　カネルには魔法の才能があった。
　若年12歳にして世界のありとあらゆる魔法を知り尽くし、使用できるようになっていた。世界最強の魔法使いと言われても過言ではない程実力だったという。
　しかしただ一つ、問題があった。

　言うまでも無い。
　青年は、優柔不断だったのだ。

　これは、異世界に生まれ落ちた性格に問題を抱えた最強の魔法使い──


　──を見守る、孤独な神の物語である、と言えば、少し話が変わってくるだろうか。


「ああ、いいさ。カネル──私の愛しい子よ。私はいつだって、この暗闇から君という主人公の勇姿を見守っている」