第5話 決意
パスワード忘れて入れなかったのは言い訳、、、
朝、目が覚めると弟が居なかった。
自分、1人だけになってしまっていた。
今までこんなことは一度も無かった。
深夜に出掛けても、自分が目を覚ますまでに必ず弟は帰って来ていて、さもずっと寝てましたよ?という顔で部屋から出てくるのだ。
しかし、今日は違った。
いつまで経っても部屋から出て来ないので、覗いて見たら、もぬけの殻だったのだ。
布団も冷たい。
きっと想定外の事が起こって、戻って来れなかったのだ。
だけど、自分に出来る事は何も無いのだ。
自分は何も知らないのだから。
少女は自分の無力さにただただ俯くしか無かった。
しかし、
「このままじゃ、ダメ。私は――」
少女は顔を上げ、自ら1歩を踏み出した。
弟は祖母を助ける為に、動いていたのだろう。その弟に何かあったなら、姉である私が助けなければならない。
そう決意すると、彼女は自分の部屋に戻り、精一杯の準備をして、家を出た。
弟の行き先に、宛なんて無い。ただ、一箇所を除いて。
何故、弟が、そこに行きたがったかなんか自分にはわからない。ただ、弟は、そこに向かった結果、帰ることがてきなかったのだと、ただ漠然とそう感じた。
だから、そこに足を向けた。
悪意と陰謀に包まれた貴族街に―