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第7話 追い詰める

 ある大きな屋敷に数人のカラジ星人が集まっていた。彼らは星間友好会のメンバーだった。大きな1階のリビングホールで大騒ぎをしていた。


「まあ、うまくいった。」

「あの美弥と言う奴を代表から引きずり降ろせたのだからな。」

「ああ、あんな踊り手が本大会に出たら優勝してしまう。そんなことになったら我らが後援している者が割を食う。」

「釈放された美弥を殺せと命じたが、失敗したのが計算外だったがな。」

「しかし関わった奴らも自殺したか、例の忍者によって始末されたそうだ。これで証拠も消えた。」

「まあ、取締局にばれても我らには手が出せぬからな。大きな利権を持つ我らには。はっはっはっは!」


カラジ星人たちは笑い合った。しかしその中に別の笑い声が混じっており、不審に思って彼らは笑いを止めた。それでも、


「はっはっはっは・・・」


という笑い声が聞こえてくる。(誰かがいる!)と思ったカラジ星人たちは立ち上がって辺りを見渡した。すると一つの人影が部屋の隅にぼんやりと現れた。


「何者だ!」


その人影はやがて忍び装束の男になった。それは半蔵だった。


「我らは闇。闇に生まれ、闇に生きる者。」

「怪しい奴め! 何の用だ!」


カラジ星人は突然現れた忍者におびえながらも、近くにある剣を手に伸ばしていた。半蔵は彼らを指さしながら言った。


「美弥の水筒に危険薬物を入れて代表から外させ、その挙句、殺そうとしたであろう。そのためにどれほどの者が犠牲になったことか。こんなことが果たして許されようか・・・いや決して許されぬ。お前たちの悪行、報いを受けさせてやる。」

「何を! 貴様こそ世間を騒がす忍者め! まとめて始末してやる!」


カラジ星人はカプセルから多数のバイオノイドを出現させた。


「行け!」


その声でバイオノイドたちは向かって来た。半蔵は刀を抜くと、真っ先にかかってきたバイオノイドを袈裟斬りで斬り捨てた。すると半蔵の後ろに疾風、児雷也、霞、佐助も姿を現した。彼らも剣を抜いてバイオノイドを斬り倒していった。


「なんだ・・・こいつら・・・」


そのすさまじさにカラジ星人たちは恐れて外に逃げた。しかし空中に飛び上がった霞がその行く手を塞いだ。


「逃がさないわ! 報いを受けてもらうわ!」


霞は刀を振り上げた。それは月の光を反射してきらりと光った。恐怖に駆られてカラジ星人たちは慌てて後ろを向いて逃げようとした。だがそこには半蔵が立ち塞がっていた。


「逃がしはせぬ! 我らが地獄に案内仕る。」

「こうなりゃ、破れかぶれだ!」


カラジ星人たちは剣で向かって来たが、半蔵や霞に剣を飛ばされ、刀を突きつけられた。彼らはおびえて震えながらその場にへなへなと座り込んだ。


「覚悟せよ!」

「ゆ、許してくれ! 何でもする! この通りだ!」


カラジ星人たちは土下座をして頭を下げた。半蔵は刀を突きつけたまま彼らに言った。


「ならばムラス舞踏の大会すべてから手を引け。お前たちが関わると神聖な大会が汚される。」

「わかった。そうする。今後一切、ムラス舞踏には関わらない。約束する。」


カラジ星人たちは必死だった。さらに地面にこすりつけるまで頭を下げた。そこで半蔵はようやく刀を引いた。


「それから我らのことは他言無用。もし誰かに話せば地獄の底まで追い詰める。よいな。」

「わかった。必ず守る。だから許してくれ!」

「ではさっさと地球を去るがよい。」


それから半蔵の声が聞こえなくなった。カラジ星人たちが恐る恐る顔を上げると、そこには誰もいなかった。ただ地面には剣が数本、深く突き刺さっていた。それは今度会ったら殺すという警告を与えているようであった。彼らは一時の死から解放されたものの、その恐怖で半狂乱になっていた。そこにいる全員が目を剥いて、


「うわー!」


と叫びながらその屋敷を飛び出して行った。

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