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――時々自問自答をする。自分の守りたいものは何だろうと。世界?精霊?人間?行き着く先は、彼だった。造られた存在なのに、この気持ちは本物なのだろうか?何に惹かれたのだろうか?……いくら考えても、答えは変わらなかった。只々彼のためにこの世界を守りたい。裏を返せば、ネロ以外必要ないのだ。こんな思考を持つ者が神になってしまったら、世界の理がどうなってしまうかなんて想像に容易い。
(なんて最低な考え……。)
それでも神の力が必要なのだ。大切な人を守るために。
ルクスの部屋の扉を叩く音が響く。ダロスト国王が訪問されたと伝えに来たようだ。
「息災のようだな。」
ソティリスの側には弟のリアンも佇んでおり、何か用事かと切り出す。
「リアンがアレスに会いたいとうるさくてな。用事のついでに寄ったのだが……。」
申し訳無さそうにするソティリスの陰で、リアンは恥ずかしそうにしている。
おそらくソティリスもシニス国王の国葬に参列するのだろうが、それにしては訪問が早い。そうなると、用事と言うのは他にあるのだろう。
「リアンだ!」
その声は外からで、リアンが振り向くとアレスとセーア、そしてノアがいた。リアンとノアは初対面だからなのか一瞬躊躇ったが、アレスは構わず続ける。
「いつまでいるの?遊べるの?」
「えっと、今日は挨拶だけだから。」
「そんなぁ、遊べないの?」
リアンとアレスはソティリスを見る。それはまるで捨て犬のようだ。
「お前はここに残るといい。用が終わったら迎えに来る。では失礼する。……あまり無理をしないようにな。」
ソティリスはルクスを見て言った。
従者を呼び、リアンに着いているよう言いつける。挨拶もそこそこにその姿を見送る。
外ではソティリスの弟であるスティーグが出迎えた。
「どうでした?」
「平静を装ってはいるが、何かあったな、アレは。番犬の姿もなかった。」
どうしたんだろうと、スティーグは首を傾げる。だが、ソティリスはその問いに答える事はなく、今は関係ないことだと一蹴した。
ミスラは突然、何かを思いついたように声をあげた。そしてエテルに顔を向け問いかける。
「言葉を喋る魔物に出会ったことはありますか?」
その質問にエテルは顔をしかめる。それほどおかしな質問だと言うことだ。動物だろうが人間だろうが、魔物になってしまえば理性など失い、ただの化け物になるのだから。
エテルの顔がおかしかったのか想像通りの反応だったからなのか、ミスラは悪戯に笑う。
「理論上は可能なんですよ。」
「くだらない。」
だがその物言いからして、これからしようとする事が想像できる。エテルはそれを想像し、複雑な表情をするのだった。




