表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の守護騎士  作者: 月岡
76/86

2

 ゾグは耳を疑った。ルクスは確かにエカードと言った。しかしエカードは2000年前の人間である。生きているはずがない。


「よかった、僕のこと覚えててくれたんですね。」


 戸惑うこちらの様子を気にすることもなく、エカードと呼ばれた少年は続ける。


「以前あなたが来たとき、思い出したんです。あの時の精霊の気配、感情、空気……。」


 ルクスを抱きしめる腕に力が入る。ゾグはそれを引き剥がそうとするが、更に力が強くなるだけで余計にルクスを苦しめることになるだけだった。

 騒ぎに気付いた騎士団が、侵入者を探している。


「まだ覚えてる。あなたを失った感情も、人々に裏切られた時の憎悪も……。」


「ご無事ですか、ルクス様!」


 数名の騎士を引き連れハンネスが部屋にやって来た。剣を侵入者に向けるが、ルクスが侵入者に抱きついているためむやみに手が出せないでいた。


「ルクス様から離れろ!」


 しかし聞こえないのか、ルクスしか見えていないのか、その言葉を遮るように語り始める。


「せっかく結界で守ってあげていたのに。結晶も、人間に食い潰されないように封印したって言うのに……。」


 それは怒りに満ちた声だった。

 不意に侵入者が手をゾグに向ける。咄嗟に後ろへ下がるが、それと同時にその手から光が放たれた。魔法だと認識したが、ゾグはそれに反応出来るほど経験もなく、呆気なく正面から食らってしまった。

 それに続き、その後ろにいたハンネスと騎士たちにも向けられる。騎士はハンネスを庇い前へ出る。


 ――刹那、侵入者の身体が地面へ倒れた。ルクスが彼の頭を掴み、身動きが取れないよう床に押し付けていたのだ。

 それを確認した騎士たちは、すかさず確保する。


「誰だかわかりませんが、無闇に暴れるのは感心しません。」


 侵入者は騎士におとなしく拘束されるも、簡単に錠を解き、あっと言う間に窓の外へと出ていった。


「やっぱりあなたは優しいですね。でも、もう人間のために頑張らないで、僕たちの恨みを晴らしましょうよ。」

「あなたとの恨みなんてありません。……誰なんですか、あなたは。」


 侵入者はおかしそうに笑う。


「先程言っていたじゃないですか、エカードと。最も、今はミスラと名乗っていますが。」


 もっと質問をどうぞといった顔をしている。ルクスに話しかけてもらうのが余程嬉しいようだ。現に、他の者たちはいないような振る舞いをしている。


「今度は絶対、あなたを守ってみせます。そんな人間の側にいるより、僕の方が強いし、あなたを理解している。」

「私の何を理解しているんですか?私を理解してくれる人は世界でたった1人。でもそれはあなたではない!」


 (コア)が熱くなるのがわかる。精霊としての感情なのか、ルクスとしての感情なのか、ミスラと出会ってそれが曖昧になっている。精霊の記憶が、ルクスを混乱させる。

 でも確かなことは、守るべき人は変わらないと言うことだ。


「……そう。まだ混乱しているんですね。また迎えに来ます。その時までに、全てを思い出して下さいね。」


 そう言い残し、ミスラは暗闇の彼方へと消えていった。


 ハンネスは騎士たちにミスラの行方を探すよう通達する。


「侵入を許してしまって申し訳ない。」

「陛下に怪我がなくてなによりです。」


 ルクスは夜空を見上げる。(コア)の熱さもいつの間にか収まっていた。


 ミスラは迎えに来ると言っていた。迎えに来られたところで従う気はないのだが、そのことでゾグのように被害を受ける者がいると思うと、下手に出歩くことも出来ない。かと言って教会に引き籠もるわけにもいかない。

 そもそもいつ来るかもわからないのだ。身構えていても仕方がない。例えミスラが来ても、返り討ちにすることは出来る。


 ルクスは倒れているゾグを回復させ、目覚めるのを待つのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ