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同期は3人。クリスと、親友のエリアーシュ、そして貴族の息子だと言うヒネク。俺はヒネクが嫌いだった。傲慢で人を嘲る態度が気に食わない。対してエリアーシュは良い奴だった。ヒネクに何を言われても嫌な顔せず、大人な対応で流していた。
「根は良い奴なんだよ。」
口癖のように相手を擁護する。それが良い所でもあるし、悪い所でもある。
騎士団にいる間、自分の魔法がどこまで出来るのか試していた。
1つは、時間と共に自分も時間を移動すること。つまり、過去に行けば姿も過去の姿。生まれる前には行けない。死んだ未来には行けない。これが1番負担もなく楽だ。
もう1つは、現在の自分自身がその時間に移動すること。今の姿のまま、過去や未来に飛べる。だが、これは体の負担が大きく、その時代に留まる事は出来るが時間が限られている。
銃を手に入れたのも、未来に飛んで知識を得たからだ。今の時代でも量産出来ればと思ったが、なかなかどうして、上手くはいかなかった。その未来は、魔力の減少による影響で銃の量産に至った。だが、ルクスがいる今、そんな未来になる可能性は低い。だから銃の量産もままならないのかもしれない。だから少しでも銃の素材が入手できればいいため、脆い量産品を放置し、自分だけの知識だけにした。ただ、騎士団にいた頃には銃は完成しなかった。
歴史がどうとか、関係なかった。
「魔物討伐の任務だ。」
場所は国境付近にある山岳地帯。国境越えをする人たちに危険が及ぶ前に対処しなければならない。この任務が俺の運命を変えた。
「俺、向いてないのかなぁ。」
任務前日、エリアーシュが呟いた。以前の任務で怪我をしたのだが、それを気にしていた。
「気にしすぎだろ。ヒネクよりずっと強いんだから、自信持てば?」
「そんなことないよ。」
そもそも、その怪我だってヒネクが原因なのだ。勝手に先行し、それを止める形でエリアーシュが庇い怪我をした。当のヒネクは悪びれる様子もないのだから腹が立つ。
先程もこの怪我を冷やかしに来たため、怒らないエリアーシュの代わりに俺が怒鳴りつけた。エリアーシュのために俺が怒る。それが通例になっていた。
「俺、遅く生まれた子だから、両親も結構歳でさ、実家の手伝いに戻ろうかと思ってるんだ。」
「……雑貨屋?」
「そう。小さい村だから、ないと不便なんだ。」
「死亡フラグじゃん。」
「はは、そうかも。」
お互い冗談だった。でも、それは現実になった。
「エリアーシュ!」
「っ!?」
魔物に囲まれたエリアーシュ。逃げ道はない。それもヒネクを庇っての結果だった。
足場を取られながら駆けつけたが、遅かった。他の騎士たちが残党を討伐したが、エリアーシュの姿はもはや判別出来ず、落ちてある装備品で判断するしかなかった。
沢山死んだ。渓谷が血で染まった。皆、棺桶の中身は空だ。エリアーシュの棺桶に泣いて縋る両親を初めて見る。他の棺桶もそうだ。全て人が縋っている。
何故エリアーシュが死んでヒネクが生きているのだ。その怒りを、俺は素直にヒネクにぶつけた。
「っ!?何をする!」
人の顔を力いっぱい殴ったのは初めてだ。情けなく倒れ込む姿を見下す。表情が凄かったのだろう。一瞬怯むが、ヒネクは殴られた頬を抑え、俺を睨む。
「お前を庇ってエリアーシュは死んだんだぞ!」
今度は蹴りを入れようとしたら、クリスにそれを止められた。
「離せ!」
「落ち着け!そんなことをしても何もならないぞ!」
ヒネクはヨロヨロと立ち上がり、吐き捨てるように言う。
「私を守って死ねたんだ。名誉ある死だろう。」
「──っ!」
クリスの静止を振り切り、ヒネクに拳を上げるが、顔をかすり壁を殴る。凹みを作ってしまったが気にしない。
「お前の命になんの価値があるんだ。」
その性格は何があっても変わらない。
(根は良い奴……ね。人を見る目だけはないな。)
エリアーシュの口癖を思い出し、俺は過去へ戻る。




