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神の守護騎士  作者: 月岡
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秘密

 ルクスは教会の一室で、ネロの治療をしていた。当初、城で部屋を用意させたのだが、教会の方が都合が良いと断ったのだ。


「ルクス様、少し休まれた方が……。私もお手伝いできますので。」


 神官長が声をかけるが、それをルクスは笑顔で断る。


「大丈夫ですよ。それに、彼には私の魔法しか効きませんので。」


 神官長が心配そうにしながら部屋から出ていく。それと同時に、精霊が姿を現した。


「もう良いのですか?」

「ええ、お陰様で助かりました。この国を守れそうです。」


 浄化作業が終わり、精霊もどこかスッキリした様子だ。


「もし、この体を神に譲ったら……守りたいものも守れない。……こんな形で実感はしたくなかったけど。」


 ルクスはネロを心配そうに見つめる。すぐに治療を開始したため命に別条はないが、致命傷と言って良い傷だ。急速に治療をしているが、傷口が塞がるまで時間がかかりそうだ。それに目が覚めるまでは、術を止めるつもりはない。


「あなたはもう、1人の人間として存在しているのですから、何も遠慮することはないのですよ。」


 そう言うと、精霊は満足したのか、姿を消した。


(そうか……遠慮してたのか。)


 ルクスは妙にしっくりくる感覚がした。




 アレスはリアンと共に、海が見渡せる丘まで来ていた。リアンのお気に入りの場所らしく、時々秘密裏にこうして羽根を伸ばしに来ているらしかった。

 秘密を教えてくれたリアンにアレスは、自身のとっておきの秘密を教えていた。


「……びっくりした?」

「うん……。でも、かっこいいよ!」

「ナイショだからね。」


 その時、城の方からリアンを呼ぶ声が聞こえた。アレスも気付き、急ぎ城へ戻る。




 セーアとスティーグはそのまま城へ戻った。セーアは教会よりも城の方がゆっくりと出来るだろうし、スティーグはそのままソティリスに報告へ向かった。


「……前王め、余計なものを残して行きおって。」

「でもそれも解決したし、一安心だろ?」


 土壌の問題も、おそらくこれで解決していくだろう。


「そのルクス様はどうした?」

「教会でネロの治療を。」

「そうか……後で見舞いに行くか。」


 スティーグは暫く考えていたかと思えば、思いついたように話し出す。


「ネロは、銃を使っていたんだが。」

「銃?珍しいな。」

「世に出回っているガラクタと違って、あれはとても頑丈で、立派だった。」


 銃は珍しい。所謂ガンスミスは数が少なく、そして精密に作れる者がいない。巷に出回っている物は全てと言っていいほど、耐久性がなくすぐ使い物にならなくなるものばかりだ。それに比べ、ネロの使っていた銃は出回っているものではなく、見たことのない銃だった。


「少しでも戦力になれば……。」


 だがソティリスはそれに否定的だった。


「それを量産出来るのか?使いこなせるのか?物珍しさで使うものではないと思うがな。」


 一掃されスティーグは明らかに肩を落とすが、それを見て呆れるソティリスは自分も甘いと思いながらも続けた。


「……話を聞くだけでも勉強にはなるだろう。今後、必要になるかもしれないしな。」


 スティーグの表情が明るくなる。ソティリスの言葉に嘘はない。本当に今後必要になってくるかもしれないし、時代の流れもある。興味がないといえば嘘になる。スティーグがネロから詳しい話を聞いて、それが有益であれば、検討できる。スティーグはただ戦力や利便性だけしか考えていない。だが、実際は他の騎士たちの戸惑いが先に来るだろう。


(少しは頭を使えばいいものを。……いや、奴なりに考えた結果、か。)


 執務室から出ていくスティーグの背を見送りながら、ソティリスは頭を抱えた。




 セーアは客室でアレスに怒りをぶつけていた。


「自分だけ楽しんでてズルい!」

「セーアが勝手についてったんじゃん!」


 双子の喧嘩に、リアンは落ち着くよう促し、お菓子を差し出す。さすがにお菓子を出されては無下にも出来ず、セーアは渋々怒りを鎮める。

 扉がノックされる。リアンの従者が呼びに来たようだ。


「兄上が呼んでいるので。ゆっくりしててね。」


 リアンたちが離れていったのを確認すると、セーアは小さな声で話しかける。


「ちょっと、アンタもしかしてあの子に秘密バラしたでしょ。」

「あの子にだけだよ。」

「そういう問題じゃない!」


 悪びれないアレスに、セーアは声を荒げる。怒りと悲しみ、どちらともとれない表情をしている。


「ごめん……でも、リアンは優しいよ。」

「ノアはどうなのよ。」

「ノアは良い意味でも普通の人間だもん。でもリアンは王族だし、何かあれば助けてくれるかもしれないでしょ?」

「……いつの間に逞しくなったんだか。」


 双子は喜びも悲しみも秘密も、全て共有する。それは生きていくために必要だったからだ。だが、最近は一緒の時間が少ないことが増えてきていた。互いに自立する時が来たのだと、セーアは複雑な気持ちになった。


(でも……仲間とか同類なんて、あたしたち2人だけじゃない。だって……。)



 ─だって、人間でもエルフでもないんだから。

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