不老不死
教会騎士団の訓練場から、ゾグとリオスが出てきた。どうやら2人で訓練していたらしく、特にゾグはぐったりとしている。
「お前、そんなんじゃエテル団長の訓練についていけないぞ?」
走り込みだけでも体力の限界なのに、更に大変になるのかとゾグは肩を落とす。
「このあとは?」
「資料室。」
「最近資料室とか町の図書館とか、よく行くよな。」
シニスの件から、ゾグは自分の無力さを痛感していた。無知な自分が恥ずかしくなった。少しでも知識を取り入れたいとあらゆる本を読んではいるが、膨大な量があり頭がパンクしそうになる。教会の歴史だけでも千年以上あるのだから、当然といえば当然なのだが。よく見てみれば、本自体綺麗に保管されている。とても千年以上前の物とは思えない。が、よくよく考えれば神の降臨による暴走があったと思い出した。その時に消失したのなら、新しくまとめ直した物が今現在、この資料室にある物たちなのだろう。
ゾグは比較的新しい年代の本を手に取る。と言っても、50年程前のものだ。それには“降臨祭”と書かれている。
「『年に一度、魔力の多い優秀な成年を対象に行う。』『魔力減少に伴う降臨祭実施について。』」
ページを捲る音が部屋に響く。すると、栞にでもしていたかのように古い写真が挟まっていた。何気なく眺めると、数名の騎士と少年、そして見知った顔があった。
「これは……賢者様?と、隣にいるのって……。」
賢者は話を聞く限り、大昔からいたのだろうと想像はついていた。しかし、ゾグはその隣に立つ男に目を疑った。
「エテル団長……?」
もしかしたらそんなに古い写真ではないのか?と考えていると、背後から突然話しかけられた。
「うわぁ〜それ、ウベルト神官長でしょ?可愛いなぁ〜。」
「うわぁ!?ジュリアンさん!?いつ帰ってきたんですか?」
シニスで復旧作業を手伝っていたはずのジュリアンが現れ、ゾグは思わず写真を落とす。ジュリアンはそれを拾い、写真をじっくりと観る。
「応援が来たからね、さっさと帰ってきちゃったよ。それよりさぁ、ほらほら、この子ウベルト神官長、今と全然違うよねぇ。」
写真を指差しジュリアンはゾグを引き寄せる。ゾグはそれよりもエテルに似た人物の方が気になっていた。ジュリアンはそれに気付く。
「ゾグって変な奴だよね。」
「えっ?」
「だってさぁ、普通ご先祖様かなー?とか思わない?」
ゾグははっとする。隣に賢者がいたからだろうか。不思議と本人だと思っていた。
「そっか……。」
「まぁ、エテル団長には不老不死っていう噂があるんだよね。」
何食わぬ顔で爆弾発言をするジュリアンに、ゾグはどっちなのかと顔で訴える。
「本人に聞いてみれば?隠してるわけじゃないんだし。」
他人事だと思ってと、ゾグは気が重くなるのだった。




