帰還後
「本当に手伝わなくて大丈夫なんでしょうか……。」
ゾグはエテルに不安気に問いかけた。
「それはどっちをだ?」
「……どっちもです。」
エテルは呆れ気味に小さくため息を漏らす。
「教会については問題ない。城に関しては我々が関与する余地がない。そこは賢者がいるからな。」
その言葉にゾグはすぐに納得した。だが、不安がなくなることはない。連続で国の王が死んだのだから、今や世界中がざわめいている。
「おそらくウベルト神官長はこのまま残る事になる。大変になるのは本部の方だ。」
神官長が本部からいなくなるため、代理をたてる必要がある。ルクスになるのだろうが、そうもいかない。
「教会が跡形もないからな。王の葬儀どころか、一般の葬儀もできやしない。」
頭を抱えるエテルに、ゾグは少し同情するのだった。
教会本部では案の定慌ただしく、ルクスは戻ってくるなり神官や騎士たちに囲まれた。
「ルクス様、ウベルト神官長は戻らないのですか!?」
「ルクス様、面会希望の件でお話が。」
緊迫した状況に、ルクスはたじろぐ。ネロは迫る人波を一掃し、順番にするよう怒鳴った。
「ウベルトに関しては後ほど。重要な書類だけ私に回してください。面会希望の方の話をまず先に。」
「はい。ダロスト国王が面会を希望とのことです。」
このタイミングでの面会など、理由は決まっている。
「……そちらの希望日がなければ2週間後と連絡を。」
「かしこまりました。」
神官は一礼すると、小走りでその場を去った。ルクスは一目散にウベルトの執務室へ入り、続いて書類を持った神官たちが机の上に書類を置いていく。重要な書類だけとは言ったが、それでも机の上を埋め尽くすほどある。
「ウベルトのおっさん、凄かったんだな。」
ネロは書類を数枚広げながら呟くのだった。
アレスは中庭でノアと遊んでいた。フェデリコ夫妻に引き取られても、時々教会に来ては一緒に遊んでいる。アレスがノアの家に遊びに行く時もあるが、滅多にないようだ。
「絶対今度の巡回には着いてってやるんだ。」
「あんまり迷惑かけちゃだめだよ。」
たしなめるノアに、アレスは不貞腐れた顔をする。
「でもさ、絶対役にたつと思うんだ。」
「例えば?」
「悪いやつをやっつける!」
「でも、それはルクス様もできるよ?ネロお兄さんもいるし。」
何も言い返せないでいると、ノアがそれを見て笑う。アレスもそれにつられ、笑い出す。随分と明るく笑うようになったなと、アレスは思うのだった。




