動き出す者たち
城内では未だに王を探していた。しかし、城内だけでなく、町中を探しても発見できないでいた。
「研究室をもう一度探してみるか……。」
「もう国外に逃げてんだろ。」
騎士たちもうんざりしているようで、王が逃げたのだと士気が落ち始めている。ブロウに見つかれば叱られるだろうと笑いながら、2人の騎士は研究室のある地下へ向かう。
重い扉を開けると、相変わらず埃っぽい臭いが立ち込める。昨日の今日で手はついておらず、一通り王を探しにここにもやってきたが、見つからなかった。
「……陛下がこんなことやってたなんて、知らなかったよ。」
一般の騎士は研究など知らず、知っていたとしても、集魔石の研究とだけ知らされていた。
様々な薬品、集魔石の残骸、培養液の入ったままの水槽。部屋の奥にもなにかあると気付き、進む。
「ん?」
1人の騎士が何かに気付く。培養液の入った水槽に何か入っているようで、それに近付く。
「うわああああ!!」
叫び声に、もう1人の騎士が駆けつける。
「どうした!?」
「あ……あぁ……。」
腰を抜かしながら指をさす方向を確認する。
「!!」
そこには、水槽に浮かぶ国王の首が浮かんでいた。
各国にオリエス国王の崩御が知らされた。ノール国王に続いて、またしても国王の死。西に位置するヴァラトス国の王は恐怖で震え上がる。しかし、南に位置する国ダロストの王は、毅然とした態度でいた。
「どちらも、集魔石の研究絡みで襲われたものと思われます。」
家臣の進言に、ダロスト国王であるソティリスは興味がないようだった。
「悪辣な方法しか思いつかぬから罰が当たるのだ。」
「後継者の第一王子もまだ幼いですし、ノール国と違い大変になりそうですね。」
もう1人の家臣が言う。
ソティリスはまだ若く、王に戴冠したのも昨年だが、前王よりも真摯な対応で政を行うと国民から慕われている。
「どうやら賢者様がしばらく力添えすると……。」
「放任の気があったやつが、ようやく自らの任を全うするか。……ふむ。」
ソティリスはしばらく考え込むと、嘲笑うのだった。
ルクスはスピルス大陸に向かう船の上で、オリエス国王の崩御を知ることになった。嘆息をもらすと、ルクスは天を仰ぐ。その横顔をネロは確認すると、すぐに視線を落とすのだった。




