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神の守護騎士  作者: 月岡
44/86

3

 ゾグたちが部屋から出ていってしばらくした後、ルクスはようやく目を覚ました。


「寝坊だな。」

「……うん。」


 ルクスは起き上がると、それと合わせたかのようにドアがノックされる。


「おはよう。」


 どこへ行っていたのか、ワイスが戻ってきた。


「住民には神罰が下ったと説明したからね。」

「…………。」

「教会の復旧は彼らに任せておけばいい。今はゆっくり休みなさい。」


 まるで見張りだと言わんばかりに、ワイスは居座る。


「……君のせいではない、といっても、慰めにはならないね。でも、立ち止まってはいけない。わかるね?」

「はい、大丈夫です。」

「君の自我は脆い。少しでも迷いがあれば、すぐ飲み込まれてしまう。」

「私にはネロがいます。」


 その眼差しは強いものだったが、ワイスはどこか気掛かりでいる。


(……ネロ、か。危ういな。)


 互いに依存している。そう思いながらも口には出さず、ワイスは部屋を出ていった。



 跡地では教会騎士団と、住民たちも協力して整地作業をしている。王宮騎士団も手伝っているが、さすがに対応することが多いのか数は少ない。ゾグとジュリアンも、黙々と土を運ぶ。


「ゾグ、すまないがルクス様の様子を観てきてくれないか。起きていたらおしえてくれ。」

「わかりました!」


 ウベルトに頼まれ、ゾグは土埃を払い、城へ走る。


「迷った。」


 入って早々、ゾグは部屋がわからず迷子になる。誰かに聞こうにも、皆忙しく走り回り聞けそうにない。手当り次第の部屋を開けよう。そう決意した時だった。


「何やってんの?」


 片手にサンドイッチを乗せた皿を持つネロがいた。


「迷子になっちゃって。」

「まぁ普通は迷うよな。」


 ネロの向かう先は当然、ルクスもいる部屋だ。ゾグは大人しく後ろをついていく。迷いなく歩くネロに、ゾグは関心する。


「よく迷子になりませんね?」

「あれ、言ってなかった?俺、昔はここの王宮騎士団にいたんだ。」

「初耳ですけど!?」


 ふぅん、と興味なさげにするネロをよそに、ゾグはいろいろと聞きたくてソワソワする。しかしネロは話す気がないらしく、目すら合わせてくれない。

 そうこうしているうちに、部屋についた。部屋ではルクスが静かに佇んでいる。ゾグは目が覚めたのか、と安心した。ネロはサンドイッチを乗せた皿を、テーブルに置く。


「あの、ルクス……様……。」


 どこかよそよそしいゾグに、ルクスは少し不機嫌な顔をした。


「前のほうがいいですね。」

「え?」

「前は気軽にルクスさん、と呼んでくれてたでしょう。」

「それは!記憶がなかったし、それにこんなに凄い人だと思わなくて……。」


 慌てるゾグに、ルクスは悪戯に笑う。からかわれたのかと、ゾグは小さなため息を漏らす。


「でも、本当に気にしないで。私もそれに慣れてしまったから。」

「……はい。」


 渋々了承をするが、ゾグ本人はあまり納得はしていない。




 ルクスとゾグは、騎士団たちが作業する教会跡地へとやってきた。ウベルトが直接部屋にくるだろうと言う話になったのだが、ルクスが二度手間だと言い、強引に部屋から出たのだ。ネロは皿を片付けてから行くと言い残し、部屋を出たあとに別れた。

 ルクスは現場を初めて見る。言葉を失うしかなかった。


「ルクス様、もうお体は平気なのですか?」

「ご迷惑をおかけしました。」


 教会騎士団たちが作業の手を止め、ルクスのもとへと駆け寄ってくる。全員がルクスの身を案じていた。ゾグはそれを見て、どこか安心するのだった。

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