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大昔、一度だけ神が目覚めた時がある。その時の器はルクスではないが、降臨祭で行われた時のことだった。当時は今より世界が荒れていた。
「そもそも人間は神の器にはなれない。故に暴走と言う形で世界の半数以上が荒野になった。」
ワイスは当時を思い出すかのような素振りを見せる。ゾグはエテルが、儀式がなくなったと言っていたのを思い出した。どうやらワイスは教会とも関わりが強いようで、ゾグはいろいろと聞きたいことがあったが、考えているうちに城の応接間へと到着した。扉をノックし開けると、王が慌てて飛び出してきた。
「どういうことだ説明しろ!」
「陛下落ち着いて下さい!」
先に到着していたブロウが、王を止める。
「彼から聞かなかったかい?神罰だと。」
「納得できるか!」
「では、あれは誰がやったと?私は、ああも綺麗に消せないが?」
それを聞き、王は言い返せない。ワイスは部屋のソファに腰掛ける。それに続き、ネロもカウチソファに座り、未だ目を覚まさないルクスに膝枕をし寝かせる。
「さて、何が言いたいかわかるね?」
じっくりと腰を据えるように話すワイスに、王は納得の行かない声を漏らした後、諦めたように項垂れた。
「いずれ教会にはバレるとは思っていた……。だが、私には民を守らなければならない義務がある。」
それに間髪入れず応えたのはゾグだった。
「ふざけないでください!この研究が世界にどんな影響をもたらすか、わかっていたはずだ!ましてやエルフを実験に使うなんて……!」
これ以上言葉が詰まって出てこなかった。自分の研究のせいでこうなってしまったと、自責の念に駆られる。まるで自分に言い聞かせているようだ。
「エルフを敵に回したくなければ、研究は止めるべきだ。それとも、神を敵に回す方がいいか?」
その言葉が効いたのか、王はわかったと一言言うとトボトボと部屋から出ていった。
「もう遅い。部屋を用意したから泊まっていくといい。民の混乱も、我々がなんとかする。」
「教会からも人寄越すように連絡しとくね。」
ブロウは忙しそうに部屋から出ていき、ジュリアンも連絡するため部屋から出ていった。外からは住民たちの非難の声が聞こえる。王が行っていた研究のせいだと、暴言の嵐だ。
「大丈夫でしょうか……。」
「さて、どうだろうね。」
ゾグは外の声が気がかりのようだ。しかし、なかなか目を覚まさないルクスを不安げに見つめるネロを見ながら、ワイスは小さく答えた。




