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神の守護騎士  作者: 月岡
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3

 記憶喪失である男は宿屋に用意された部屋でぼんやりとしていた。先程とは違い、服装も新たに用意され小綺麗になっている。

 教会の本部とやらへ行けば自分のことがわかる。しかし不安もある。何故森で倒れていたのか、それ以前は何をしていたのか。思い出そうとすると頭が爆発しそうに痛くなる。誰かに追われていたのか、迷ったのか。名前がわかったところで、それらがわかるわけじゃない。


(……あれは?)


 ふと外を見ると、ルクスとネロが村人に囲まれている。気分転換に、男も外に出ることにした。



「ルクス様、どうかこの子に精霊様のご加護を。つい先日生まれたばかりなんです。」

「ルクス様、最近腰が痛くて仕事もままならないんです……。」

「ルクスさま!ネロ!あそぼ!!」


 2人は身動きが取れないほど村人たちにもみくちゃにされている。それを見て男は声をかけるのを躊躇った。しかしネロがそれに気付き、両脇に子供たちを抱えながら男の元へやって来た。


「大変そう……ですね。」

「これも仕事だからな。」

「あの、ルクス……さんは偉い方なんですか?」


 その言葉に、ネロの表情が一瞬変わった気がした。


「まぁ、偉いよ。」

「ネロさんも?」

「どうだろう。教会騎士団所属だけど肩書とか聞かれるとなぁ。」


 男が不思議そうな顔をしたのだろう。ネロはやれやれといった様子で説明した。


「騎士団、わかる?王様に仕えてる騎士団が王宮騎士団。教会に仕えてるのが教会騎士団。いろいろあって王様と教会は仲悪いの。」

「わかりました……。」


 ネロに嫌われている。そう感じた男はこれ以上聞くのをやめた。



「ありがとうございます、ルクス様!」


 歓声があがる。ルクスは女の抱く赤ん坊を優しく撫でた。それを見ていた子供が聞く。


「ルクスさまって女の人だよね?」

「違うよ!前来てくれたとき泥にはまった牛を持ち上げてたんだよ!力持ちなんだから男の人だよ!」


 それを見てルクスは笑う。


「こら。セクハラだぞ。」


 ネロが子供たちの頭に手を置く。ルクスに目配りをして、少し離れた男を伺った。


「我々は各地を巡回しています。あと数カ所あるので、お手数ですがあなたにも付き合ってもらいます。もしかしたら何か手がかりがあるかもしれないですからね。」

「わからないことがあれば道中きけばいい。」

「明日の朝出発するので、それまでゆっくりしていてください。」


 では、とルクスとネロは教会ではなく、村の奥へと消えていった。

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