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「キミははじめましてだよねぇ?」
不意に話しかけられ、ゾグは思わず返事をする。
「はいっ!」
「キミ、勘違いしてるよ?」
「え?」
まるで心を読まれたかのような発言に、ゾグはドキッとする。
「キミはオレが魔物被害の犯人だと思ってる。でもそれは間違いだよ。犯人は別にいるんだから。」
意地悪気な笑みを浮かべ、誰かに視線を移す。まさか教会の人間が犯人か?と冷や汗をかきながら、ゾグはその視線の先を追った。
「そこまでにしなさい。」
急に声がしたと思うと、その場にワイスが現れた。リーヴィオはつまらなそうな顔で舌打ちをする。
「人間のくせに指図しないでもらえますぅ〜?」
「少なくとも、神官長を殺したのはリーヴィオ、君だ。」
「オレにだって仲間意識はあるんだけどなぁ。」
まるで仇討ちをしたとでも言いたげなリーヴィオに、ワイスは呆れる。リーヴィオはルクスに同意を求めた。
「ルクス様はわかってくれるよねぇ!?バカは死ななきゃ治らないんだよ?」
それはまるで、同意すると確信しているような物言いだ。しかしルクスは何も言わない。リーヴィオが神官長を殺したことがショックだったのだ。研究についての全てを聞き、懺悔させ、研究を止めさせる。それだけでいいのだ。殺す必要などない。確かに殺せば解決するのだろう。だが、それでは駄目なのだ。
しかし心のどこかで、リーヴィオの言い分もわかってしまう。幾度となく大地が死に、蘇らせ、争いを止めようとも、忘れた頃に再びそれは起こる。
「人間がバカで学ばないから、神様も出てこないんだよ。」
「口を慎め!」
ワイスが怒鳴る。少し焦っているようだ。
「どうして?せっかく寝坊助な神様を起こそうとしてるのに。」
「神様を……起こす?」
怪しい笑みでゾグを見る。続いてネロに視線を向け、口だけを動かし何かを伝えた。みるみるうちに表情が青ざめたと思うと、すぐ険しい表情になり銃をリーヴィオに向かい撃つ。しかしそれは避けられてしまった。
「っと、危ないなぁ。」
「ふざけんなクソ野郎!!俺は認めない!!」
初めて感情を爆発させているところを見たゾグは、驚き困惑する。
「ネロさん……?」
「もしかしたら今度こそ、精霊が犠牲になりかねないんだよ?」
ネロは何度もリーヴィオに向かい銃を撃つ。しかし全て避けられ、余計にネロの怒りをかうだけだ。ジュリアンが羽交い締めにし、暴れるネロを抑える。
「ルクス、耳を貸すな!」
ネロが叫ぶ。
「ただの器のくせに、でしゃばるから仲間が死んだんだ!そして次はきっと精霊!」
「……器……私が、器……だから……。」
リーヴィオは楽しげな表情をしながら言う。
「器に感情はいらないよ、お人形さん。」
その瞬間、その場の全員背筋が凍りつくのを感じた。




