天罰
ルクスの腕の中でエルフが光となり消えた。結局助けることはできず、エルフは自然へと還る。ルクスはそれを見届けると、集魔石の前に立つ。
「ルクス様にしか対処できないんでしょ?どうするの、それ。」
ジュリアンはネロの後ろに隠れている。
おそらく集魔石を破壊、もしくは魔力を抜き取ってしまうと、一時的に町を覆っている結界が消える。それに、国全土に渡る魔力が込められているとなると、その魔力がどのように影響を及ぼすかわからない。
「さて、どうしたものか。とりあえず、人気のない場所に移動させたいですね。」
そう言うとネロが何も言わず集魔石を手に取る。
「えぇ!?大丈夫?」
ゾグが驚き声を上げる。
「魔力がない人間が持ってもなんの影響もないだろ。それに、俺には魔法とか効かないし。」
「魔法が効かない?」
ゾグが不思議に思うのも無理はない。魔法が効かない人など聞いたことがないからだ。そして魔法が効かないとなると、回復魔法も効かないと言うことになる。
「いいから行くぞ。」
「その前に、先に教会へ。」
ルクスたちはそのまま、教会へと向かった。
外は既に暗く、夜空には満月が昇っている。神官長は誰もいない聖堂で祈りを捧げる。しかしその表情は、何かに怯えているようだった。背後に聞こえる扉が開く音に、肩が跳ねる。
「な、なんだお前は!」
にじり寄る影に、神官長は後退りする。
「どうせ死ぬんだから、オレが殺ってもいいよねぇ?」
月明かりに照らされたのは、リーヴィオだった。有無を言わさず、リーヴィオの手が神官長の胸を貫く。貫いた先の手には、心臓が掴まれていた。そのまま握りつぶすと同時に、神官長は息絶えた。
その時、教会の扉が開く。ルクスたちは何が起きているのか理解するのに、しばらく時間がかかった。
「リーヴィオてめぇ!!」
沈黙を破ったのはネロだった。今にも殴りかかる勢いだが、リーヴィオが血だらけの手を前に出す。
ゾグはその光景を見て、魔物の正体はリーヴィオで、一連の事件の犯人だと思った。誰もがそう思うだろう。
「もしかして……このエルフが……。」
ゾグはリーヴィオとは初対面だ。殺人現場に出くわし尚更犯人だと確信するだろう。リーヴィオは怪しく笑みを浮かべるのだった。




