相棒
けたたましくドアが叩かれる。ゾグは何事かとドアノブに手を掛けようとした時、勝手にドアが開かれた。そこには先程の試験でエテルの隣にいた人物だった。
「俺ジュリアン!よろしく!」
「あ……はい、よろしくお願いします。」
勢いに押され、数歩下がる。しかしジュリアンに腕を掴まれ、部屋から引きずり出される。
「あの!」
「案内がてらいろいろ教えたげるー。」
ジュリアンは強引にゾグを連れ出した。
教会騎士団の住民区は普通の町とあまり変わらない。違いといえば、酒場や宿屋がないと言うくらいだ。食事なら食堂があるし、住民区に宿屋は必要ない。日用品を売っている店もある。酒が飲みたければ町に下りればいい。
ゾグの視界に小さな子供が映る。それは初めてここに訪れたとき、ルクスに抱きついてきた双子だった。
「あ、ジュリアンだ。」
「やっほーガキ共。」
親しげに話し、あっという間に双子はどこかへ行ってしまった。ゾグは尋ねる。
「この子たちは?」
「ルクス様が拾ってきた。」
「拾って……?」
まるで捨て猫を拾ってきたような軽い言い方だ。
「どっかの研究所?みたいなとこで飼われてたらしいよ。」
「飼われてたって……。」
ゾグは大袈裟だといった反応をする。ジュリアンも聞いた話なので真偽は不明だ。しかし深く聞いて良いものなのか。悶々としていると、背後からその答えが聞こえた。
「文字通り、飼われてたんですよ。首輪に繋がれ、檻に押し込められてね。」
振り返ると、いつ来たのかルクスとネロが立っていた。ノール国から帰ってきたばかりのようだ。
「ルクス様お帰り〜。」
「ただいま、ジュリアン。」
相変わらずの返答にゾグは気が抜けつつも、双子を心配する。
「そんな酷いこと……大丈夫なんですか?その……トラウマとか。」
「あの子たちはあの子たちの世界があります。それを邪魔しないよう、我々も優しく見守っていますよ。」
そう言うと、これ以上の会話は不要と言わんばかりにジュリアンが話しを遮る。
「次!基礎体力作り!」
またしても強引に連れて行かれるのだった。
ゾグとジュリアンが去ったあと、ネロは特に驚いた様子もなく言う。
「あいつ受かったんだ。」
「お祝いでもする?」
「しない。それより次の巡回場所の確認しよーぜ。」
「自分から言うなんて珍しい。」
ルクスは少しからかいながら、ネロと共に住民区の奥にある建物へと向かった。
そこには複数の教会騎士団員が、部屋の中央にある地図を指差しながら話しをしている。ルクスたちと同じく、次の巡回する場所の確認をしているようだ。ルクスに気が付くと、皆話しを止めて一礼する。
ルクスたちの次の行き先は決まっていた。ゾグがいた研究所のある町……オリエス大陸の王都、シニスだ。オリエス大陸はついこの間行ったばかりだが、王都へは寄らずにいたため、これを期に王都を調べようと思ったのだ。
「つくづく因縁があるよな、オリエス大陸。」
ネロは小さく呟くのだった。




