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リオスとジェニはずっと黙ったままだ。
「本物のルクス様がいる……。」
うわ言のように繰り返す2人に、ゾグは苦笑するしかない。ネロはつまらなそうにルクスの隣を歩く。
「さて、ではゾグさん、まずは見せてもらっても?」
開けたところに出ると、ルクスは倒木に腰掛ける。
ゾグはリオスに頼むと、練習していた通りに魔力を放出し始める。それを見てルクスは納得したように頷く。
「ゾグさん、あなた怖がってますね?」
「え……。」
ルクスは小さな光をゾグに向けて放つ。咄嗟にゾグは両手で庇い、魔力を吸収する。しかし放出している様子はない。
「吸収は優秀なんですけどねぇ。」
「いきなりなにするんですかっ!」
ゾグはそう叫ぶと、ゆっくり魔力を放出し始めた。ルクスはその手を握る。魔力が体内から出ていく感覚がして、ゾグは寒気を感じた。
「怖がると体も強張って魔力の通り道も狭くなります。」
ルクスからキラキラとした魔力が放出される。ゾグとは違い、その量も勢いも違う。
「まずはリラックスして、この出ていく感覚を覚えなさい。」
「はい……。」
初めての感覚に、しばらくゾグは呆然としていた。
教会へ戻る道で、ネロはルクスに聞く。
「あいつ、本当に大丈夫なわけ?」
「心配?」
「まさか。ただ……。」
「ただ?」
しばらく沈黙したあと、ルクスは深刻な顔で言う。
「限界だったんですよ、彼の魔力が。」
ルクスの体からは未だに魔力が放出されている。よほど溜め込んでいたのだろう。魔物になる寸前とまではいかないが、ルクスはゾグの体が持たないと思い、入団を勧めたのだった。
「人員確保もできるし、それに彼も魔力を制御できて一石二鳥でしょう?」
「俺はアイツがどうなろうがどーでもいいけどな。」
ネロはゾグのことを気に入らないのだろう。と言うよりも、ネロはルクスのこと以外は興味ないようだ。ルクスは少しネロに近寄り、楽しげに歩くのだった。




