試験
この一週間、あっという間だった。悩んでも仕方ないと割り切ってはいたが、ゾグは試験本番になり緊張がぶり返してきていた。
「あぁ……どうしよう。何するんだろう。」
「ビビリすぎ。」
リオスとジェニはやはり冷静にしている。
教会まで行くと、エテルが待っていた。エテルは着いてくるように言うと、教会騎士団の訓練場らしき場所に連れて来られた。そこにはウベルトもいて、エテルと一緒に試験官をするのだろう。
「君たちには、自分の能力を見せてもらう。」
それだけ?と、ゾグは気が抜けた。しかし問題がある。ゾグは魔力はあるが、魔法を使えるかと言うと微妙なところなのだ。
リオスは張り切っている。率先してやるようだ。
「じゃあ俺から!」
リオスは人差し指を立てると、そこから火柱が立つ。ゾグは驚いたが、エテルは特に驚く様子もなく、次!と叫んだ。
「僕は氷の魔法が得意です。」
ジェニはそう言うと、自身の周りを氷で覆った。これにもゾグは驚くが、やはりエテルは驚く様子がない。
「後、少しですが回復魔法もできます。本当に少し……掠り傷程度ですけど。」
ジェニはおもむろに氷を折ると、鋭く尖った先端で腕に傷を作った。そしてそれをゆっくりとだが、確実に治していった。その様子にエテルとウベルトは目配せをする。
「よし、次だ。」
ゾグはどうしようと考えた。ゾグ1人ではどうにも出来ないからだ。そしてゾグはリオスに頼む。
「僕に魔法ぶつけて欲しいんだ。」
「は?正気かよ。」
「お願いします。」
何かあるからお願いしているのだから、リオスは断るわけにもいかず、少し手加減をしてゾグに魔法を放った。
しかしゾグは傷一つなくそこにたっている。
「僕は相手の魔力を吸収できます。……出すのは苦手ですけど。」
エテルは何かを考えた後、口を開いた。
「人によって魔法の特徴は違ってくるが……。」
3人それぞれを見ると、魔法の等級について語る。
「リオスのような魔法は、一般的な魔法で、魔力を持つものなら基本中の基本。そいつの器量次第。次にゾグのように魔力の吸収、そしてそれを放出し、相手に跳ね返す魔法。ただこれは訓練次第で使えるようになる。とても難しいがな。」
エテルはジェニを見る。
「そして回復、結界が張れる魔法は貴重で、使える神官は聖人と呼ばれるたりする。神官長になるなら必須の魔法だ。」
3人はへぇ、と声を漏らす。
「そしてこの世界で特に珍しい魔法がある。」
「聖人様の魔法以外にもあるんですか?」
「あぁ。それは、時空に干渉できる魔法だ。ただ、これはおとぎ話程度だと思っていい。」
またも感嘆の声を漏らす。
エテルはゾグを見る。
「後3日やる。お前たちは協力してゾグの魔法を完成させろ。」
「完成?」
エテルは呆れていた。
「魔力を溜め込みすぎると危険だからだ。苦手なら尚更、スムーズに魔力を放出させろ。それが出来るようになったら、3人合格にしてやる。」
「ええええええ!?」
予想外のことで、ゾグは再び不安になるのだった。




