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リーヴィオはエルフの中でも変わり者だ。各地を放浪し、人々に関わり本能の赴くまま行動する。今回もただの興味本位で研究していたのだろう。
「この国がどうなろうが、オレの知ったこっちゃないし。」
どうでもいい、と言った態度が出ている。王は小さく嘆いていた。
「せっかく面白そうな研究拾ってきたのに、残念だなぁ。」
「どこで知った。」
「んー?オリエスのどっかの町?」
オリエス……ゾグと出会った大陸であり、記憶喪失になった原因でもある場所で、リーヴィオは偶然居合わせたらしい。
「なんか騎士っぽい人もいたから、ちょっとしか読めなかったけど。後は没収されちった。」
リーヴィオは悪びれもなく話す。しかしその話から、やはりゾグの妖精を利用した研究はオリエス国王に介入されていた。
少ししか読めていないと言っても、ここまで研究を進めているならリーヴィオは他で研究をやりかねない。
「お前、なぜこんな研究に手を貸した。」
「んー……面白そうだったから。」
エルフなら妖精や精霊の重要性を誰よりも理解しているはずだ。しかしリーヴィオは、面白そうだからと言う理由だけで国が滅びかねないことをしている。
「でも精霊や君たちを敵に回しちゃうから、もうやらないよ。オレにとってはただの暇潰しなんだし。」
そう言うとリーヴィオはヒラヒラと手を振り出ていこうとする。エテルがそれを止めようとするが、軽くあしらわれてしまった。ルクスもそれを無理に止めようとはしなかった。少なくとも、敵に回したくないというのは本当だろう。
リーヴィオは王とすれ違いざまに小さな声で囁く。
「ちょっと唆しただけでこれだもん。人間てホント、愚かだよねぇ。」
王は青ざめた。リーヴィオは笑いながら出ていった。
「集魔石を使うことは悪いことではありません。ですが、森がなくなると住処を失う動物のように、魔物も集魔石を掘り尽くされることで住処を失います」
ルクスは部屋の中央に集まっている妖精のもとへ行く。
「魔物が人里に来てしまえば、人間はたちまち餌食になります。」
妖精を閉じ込めていた結界がなくなり、多くの妖精が空へと消えていく。リーヴィオは城の外でそれを見ていた。
「綺麗だな……。」
「あなたにこの光景が見えないのが残念です。」
淡い光がノール大陸全土に行き渡ったのを、精霊は静かに見届けていた。




