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「どうかお許し下さい、ルクス様!」
その時、神官長がルクスの足元に這うようにやってきた。
「城の地下にあります!」
ルクスに集まる魔力が止まった。神官長は安堵し、王は我に返り神官長に詰め寄る。
「どう言うつもりですか神官長!この国がどうなっても良いと!?」
「黙りなさい!我々の考えが間違っているのです!こうしてルクス様がお怒りなのがその証拠です!」
言い争いをしている王の首根っこを掴み、ネロは引き摺り始めた。
「何をする!」
「城に行くに決まってんだろ。」
「神官長も、一緒に来てもらいますよ。」
有無を言わさずネロとエテルは2人を連れて行く。引き摺られながら王が何か言っているが、構わず進んでいく。
王宮は教会の向かい側に建っている。近いわけではないその距離を、ネロはずっと引き摺って来ていた。
騎士団が何事かと駆けつける。見れば国王が引き摺られているではないか。慌てて剣を向けるが、その王に止められた。
ネロは王を強制的に立ち上がらせると、銃をその後頭部へと向ける。
「さぁ、案内しな。」
「まるで悪役だな。」
エテルは呆れながらもそれを止めはしない。
騎士たちや臣下たちはざわつきつつも、おとなしく見守るしかない。
薄暗い階段を降りていく。厳重に施錠された扉は、さながら囚人でも閉じ込めている牢のようだ。王は懐から鍵を取り出すと、その扉を開ける。
数人の研究者が集魔石を前にして何かを話している。そして奥から1人のエルフが飄々とやってきた。
「あれぇ〜?王様だ。」
エテルはそのエルフを見て驚いた。
「なっ!?お前はリーヴィオ!?」
「あ〜エテルだぁ。150年振り?あれ?何年だ?」
リーヴィオと呼ばれたエルフは、どうやらエテルと知り合いのようだった。エルフは滅多に人里には現れない。人間にも関わることがないため、余計に驚きを隠せない。
「あれあれ?もしかしてオレの為に連れてきてくれたの?」
そう言うと、リーヴィオは脇目も振らずルクスの元へやってきた。ネロがすかさず銃口を向ける。
「え?何々?違うの?研究のために連れてきてくれたんじゃないの?」
「何言ってんだテメェ。」
「妖精じゃ魔力が足りないから精霊クラスの魔力用意してくれるって言ったよねぇ?」
リーヴィオの言葉に、視線が王に向かう。縮こまる王に睨みを効かせ、エテルは高々と宣言した。
「今からここは封鎖する。持ち出し禁止。即退出。神官長に従うように。リーヴィオは残れ。」
「急に部外者がそんなこと……!」
「いいから言うことを聞け!」
慌てて王が叫ぶ。渋々そのまま出ていく研究者たちは、神官長に教会で待つよう言われ、念の為ネロを見張りにつけさせたのだった。




