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エテルはルクスの魔力を自身に介して精霊に送る。魔力が安定さえすれば精霊の暴走も収まるはずだ。
「エテル、無茶はしないで!」
「大丈夫だ!」
そう言うが、あまりルクスから魔力を取ることはしたくなかった。そうなると自らが頑張るしかない。エテルは魔力を最大限放出した。
「エテル!!」
ルクスはエテルがしていることに気付き、魔力を更にエテルに送ろうとした。だがそれをエテルが拒否する。
攻防はまだ続く。ネロには強風にしか感じられていなかった。
後少しが足りない。エテルは自分の魔力だけで補おうとしていた。ルクスには負担をかけたくなかった。魔力の少ない中結界を張ったため、尚更だ。
「……あと、少しなんだっ。」
その時、エテルの横からネロの銃が現れた。
「これも一応魔力の内に入る?」
魔弾。魔力のないネロが唯一精霊に対抗できるものだった。見えなければ、攻撃できなければルクスを守れない。そのために作らせたものだ。
「それだ!」
ルクスはそう言うと、ネロの銃……魔弾に魔力を込める。
「ルクス様!」
「エテルは心配しすぎですよ。」
ネロは引き金を引く。一点に集中された魔力が精霊を貫いた。
水を打ったように静まり返ったそこには、精霊が穏やかに佇んでいる。先程とは打って変わって、禍々しい力は感じられない。
「……主よ。」
精霊が語りかけてくる。
「私は……。」
「もう大丈夫ですね?」
ルクスに気付いた精霊は、不思議そうに見たあと理解したのか跪いた。少なくともエテルにはそう見えている。
「助けていただきありがとうございます、小さな神よ。」
それを見て、エテルは警戒を解いた。
精霊は静かに、何が起きたのか語る。
ここには集魔石を採掘出来る場所がある。そのため魔物も多く、誰も足を踏み入れることはあまりない。だが最近、騎士の格好をした人間が現れるようになった。それと同時に、妖精の姿も消えていった。魔物も結界があり近付けず、逆に反撃を受けてしまった。
「あれはこの国の騎士です。」
「そして結界もあった……。」
ノール国騎士団、つまりはノール国王とノール国教会は手を組んで集魔石を集めていた。
「ゾグの研究がまんまと外部に漏れているな。」
エテルは頭を抱える。
「この森は捨てます。妖精も作れない。」
「そうですか……。」
ルクスもそれに何も言えなかった。根本的な問題を解決しなければ、魔力が戻らない。
「でも、少しでもよくしてくれるなら、いずれ戻ります。解決してくれるのでしょう?」
「もちろん。」
精霊はルクスの頬を撫でると、何処かへと消えていった。
一行は急いで森を抜け、急遽首都であるセヴルへと向かうのだった。




