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だんだんと空気が重くなってくるのがわかる。この辺は森深く、あまり人も近寄らない。魔力が薄くなり妖精の姿も確認できない。それなのに感じる大きな力に、ルクスとエテルは緊張を隠せない。ネロは相変わらず飄々としていて先陣を切る。この環境に、何も感じていないようだ。
「あでっ!!!」
突然ネロが転んだ。何かに躓いたようで足元を見ると、連絡が取れなくなっていた団員が倒れていた。あたりを見渡すと、そこ一帯木々がなぎ倒され、ちらほらと倒れている人が確認できる。
「死んでる。魔力が枯れたのが原因か……?」
魔力のある人間は、体内の魔力が全てなくなると命に関わる。だが、普段の生活では絶対に魔力がなくなることなどない。なのに全員魔力の枯渇で死んでいるのだ。
「一体なにがあったんだ。」
エテルは周囲を警戒し、ネロはルクスの側で守るように立っている。
その瞬間、魔力の気配を感じエテルはその方向へ向いた時だった。
「ぐっ……!」
何者かの襲撃を受け、エテルは不意をつかれたがなんとか防いだ。
「何者だ!」
そこには青い炎が揺れていた。強い力の源はそこから感じられた。
「あれは……精霊か?」
「でも様子がおかしい。おそらく……。」
ルクスが喋ろうとした瞬間、“それ”が動き出した。ネロに向かってくるも、しかしネロは見えていないのか、微動だにしない。
「……なに?なんかいるわけ?」
魔力のないネロは、エテルが何者かに攻撃されたのは理解しているが、何がいるのかはわかっていない。どうやらネロには精霊も見えないようだ。
「……主……よ……。」
次第に形を成していく。精霊の姿は見る者によって変わる。人の姿に見える者もいれば、獣のような姿に見える者もいる。エテルにはどうやら人の姿に見えているようだが、ルクスにはどのように見えているのか、それは本人にしかわからない。
「暴走していますね。」
枯渇した魔力を補おうと精霊は魔力を補填する。しかし何らかの理由で魔力がどんどん減って行き、精霊は更に魔力を補填するために放出し続ける。そしてそれが自身でも止められなくなり、暴走してしまう。
どうやらこの精霊は自身の魔力が枯渇し、それを求めてあらゆる物から魔力を吸収していたようだった。団員たちも魔力を吸収され、為す術もなく死んでいったようだ。
「主よ……。」
精霊が虚ろに語りかけてくる。
「落ち着いて、今楽にしてあげますから。」
「あぁ……主よ……。」
精霊がエテルに手を伸ばした時だった。
「……がう。」
「え?」
「違う!お前は主ではない、誰だ!!」
暴走する精霊の攻撃を、エテルが結界で防御する。
「強硬手段だ!しんどいかもしれないが魔力を送るぞ!」
「……っ、はい。」
エテルは叫ぶと、ルクスの手を取りエテルから魔力を自身に、そしてその魔力を精霊に送り始めた。
ネロは見えてはいないが、その先に原因がいるのがわかった。銃を握る。魔力がない変わりに、弾に魔力が込められている魔弾を使っている。何かあれば撃とう、と決意していた。




