表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の守護騎士  作者: 月岡
18/86

3

 翌朝、少年は帰ってこなかった。あのままフェデリコ夫妻の家に泊まりに行ったらしい。


「正式に引き取られることになったよ。」


 ルクスから告げられると、アレスとセーアは以外にも反応は薄かった。


「ふぅーん。」


 呆気ないもので、それだけだった。


「もっと残念がるかと思った。」

「しかたないよ。だって、僕たちとは違う世界に住んでるんだもん。やっと“普通”の生活ができるんだから。」


 表情から見ても、特に我慢しているようには見えない。セーアが説得したのか、昨日の時点で割り切っていたのだろうか。


 客室にはフェデリコ夫妻と少年が待っていた。ルクスに深々と頭を下げ、感謝している。


「本当にお世話になりました。ルクス様には感謝してもしきれません。」

「これは運命なんです。ですから頭を上げて下さい。」


 ルクスはアレスとセーアを前に押しやる。少年は恥ずかしげにアレスとセーアの手を取った。


「僕ね、ノアって言うんだ。」

「ノア……。」


 少年……ノアは照れくさそうに笑う。


「ルクス様、僕を保護してくれてありがとうございます。アレス、セーア、また遊ぼうね。」

「……しかたないから遊んであげる。」


 ノアは手を振りながら町へ降りていった。アレスも手を振り返す。

 今はもう、あの不快感はない。きっとあの子とはもう会わない。人間の学校に行って、友達が出来て、きっと僕のことを忘れる。だったら僕も忘れよう。

 それは寂しさからの考えではなかった。ただ自然と気持ちが冷めてしまったからだった。


「いっちゃった。ねぇ、アレス。」

「なに?」

「変わりに私が剣術の稽古について行こっか?」

「何で知ってるの!?」

「知らなーい。」


 笑いながら走って行く双子は、普段と変わらない様子で遊び始めるのだった。




 ネロは自室で銃の手入れをしていた。港で見せた物とは別の銃だ。だが、オイルが切れたらしく軽く舌打ちをする。棚から新しいオイルを取り出すと、窓の外からアレスとセーアが走っているのが見えた。何を考えているのか。双子を見下ろす表情は冷たいものだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ