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すきなのに

作者: REZ☆

「すきなのに」


すきなのにどきどきするんだ

すきだけど、どきどきしてしまうんだ


すきだからゆっくりしていたいのに

すきだから時間を気にしたくないのに


どきどきして眠れない

きみのせいだなんて思いたくないのに


弱いぼくだ

ごめんね



「友のきげん」


友の起源は右手と右手で手を取り合う様子なんだって

僕と君の起源は取っ組み合いで

今まで君に手を取ってもらったことなんてないけれど 


友の機嫌はとりたくないな

いつもの君と違う時はそっとしておくよ

話を聞いて欲しいなら聞くし

慰めて欲しい時は慰める

すっきりしたらまた一緒に笑おう


友に期限はあるのかな

一緒にいられる時間は有限でも

君との友情は無期限でありますように

離れてしまった今は

そんなことを考えたりして


君との出会いを紀元として

紀元後と紀元前の僕自身に

特にこれといった変化はないけれど

思い出す度に笑ってしまうような愛しい時間が

増えて

戻りたいとさえ思ってしまうことが少し

憎らしくて



「月光」


満月が光の輪を纏う夜

あなたに贈り物をしよう


月の光にまけないくらい

芳香を放つクジャクサボテン

今夜咲いたのさ


遠い昔

月に見守られ

愛する人に贈り物をした音楽家がいたらしい

月光の波に揺られる小舟のような贈り物

その音楽家の恋は実らなかった

きっと

月は今にも消えそうな三日月で

贈り物は愛を伝えるには儚すぎた


だからぼくはあなたに贈ろう

満月が光の輪を纏う夜でも

霞むのことのない大輪の華を



「電車」


(しゅっぱつしんこーう)


どこへ行くかな

どこまで行くかな

どこまでも行こうかな


(安全確認ヨシ)


駅が流れる

ビルが流れる

住宅街も流れる


(この列車は区間快速です)


山が流れる 

電線が流れる

田んぼが流れる


(行き違い列車の待ち合わせのため六分ほど停止します)


知らない空気

知らない景色

知らない人たち


(曲線部通過のため大きく揺れる場合がございます)


時が流れる

自分も流れる

思い出も流れる


(次は終着駅です)


何もかも流して

何もかも置いてきて

ただ目的地の方向だけを見て

ただレールの上だけを

走れたら


(ご乗車いただき誠にありがとうございました)



「色」


さあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい

色、色はいらんかね


色は匂へど散りぬるを、とはお前さんも聞いたことがあるだろう

今ここで売っている色は今ここでしか買えないってことさね


暖色も寒色も選り取り見取り

紅色桃色珊瑚色

蜂蜜色に浅黄色

小豆色に蜜柑色

なんだってあるのさ


どの色もどこにも負けない美しさ

一級品の品揃え

お前さんの魅力を引き立ててくれること間違いなし


さあ、お前さんはどの色がお望みだい?

暖かくてどこか懐かしい煉瓦色?

無邪気で明るい菜の花色?

宝石のような上品な輝きを持つ玉虫色?


おや、その色を選ぶのかい

お目が高いねその色は

うちで1番の高級品さ

あまりにも魅力的だから

すっかり心を囚われて

しまった客も過去にはいたね

手入れがあまりにも大変だから

返品されてしまったけどね

勝手なもんさ


お前さんはよく世話をしてちゃんと可愛がってやるんだよ

毎度あり






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