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楓という名のいもうと

 五十も半ばを過ぎたのに、宗介はいまだ高等遊民を続けている。世間には高名な画家、母と自分には傲慢の権化としてのしかかる父、是枝恭介の亡霊で霞を食むように生きてきたのだ。それは、父の死後も自分たち親子を慈しんでくれる藤田さんによって「続けさせられてきた」のだった。
 母と藤田さんの絹のような柔らかさでがんじがらめにされていた宗介は、母の死をきっかけに新しいトライアングルが生まれる。自分と藤田さん、そして親子ほど離れたカービングナイフのように美しい妹の楓。
 楓には、宗介が持て得なかった父恭介の芸術性があふれるように備わっていた。
ひとりぼっち
2021/05/05 08:45
直(じか)の楓
2021/05/05 08:49
藤田さんというひと
2021/05/05 08:55
なりわい
2021/05/05 08:59
桂の木のような
2021/05/05 09:00
なさぬ仲
2021/05/05 09:04
カレーの日
2021/05/05 09:06
キングサイズのベッドから
2021/05/05 09:09
ビリビリする長電話
2021/05/05 09:11
インスタレーション
2021/05/05 09:12
赤い靴はいてた女の子
2021/05/05 09:14
最後の一日
2021/05/05 09:15
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