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みんなで得た絆。この絆が未来で……

「それにしても、お前らよくこんなに元気でいられるな。あと少しで死ぬところだったんだぞ」

 ベアは心底呆れたかのように僕たちを見つめてくる。


 そんなことを言われてもな。死ぬときは死ぬ。

 ベアはかなり長い年月を生きているから死ぬのが怖いのだろうか。


「私は元々意識がなかったので。そこから意識を持てただけでも幸せで、今はこうやってベア様に言葉まで頂きました。だからこうやっていられる時間を大切にしたいと思っています。ただ、もし……私たちが亡くなってもベアトリーチェ様が覚えていてくれれば、私たちはあなたの中で生きていくことができると思います」


 マシロは結構いろいろなことを考えているようだ。

「そうか……でも、絶対に私はお前たちのことなんて覚えていてやらないからな。すぐに忘れてやる。だから1日でも1秒でもいいから長く生きていくんだぞ。生き残ったものに責任をなすりつけるな」


「フフフッ、わかりました。ベア様と沢山思い出作るのに長生きしますね。ご主人様もですよ!」

「ゴフッゴホッ……僕は唯一人間だからな。どれだけ長くいられるかわからないけどね。善処するよ」


 僕はそれからしっかり熊肉を美味しく頂いた。マシロたちが血抜きをしていてくれたおかげだろうかめちゃくちゃ美味しかった。


 ベアがいうには狩るのが難しいがこの冬眠中というのはほ、ほどよく油が乗っていて一番美味しい時期らしい。これがもう少しして春になると油がなくなって美味しくないそうだ。


 肉はかなりの量があるので遠慮せずにどんどん食べていく。

 肉の量を見ると1カ月間では到底食べきれる量ではない。

今までずっと寒いなかだったが、お肉を食べたおかげで身体の中から温まってくる。


「みんなありがとう。お腹がいっぱいになったおかげで少し落ち着いたよ」

「コーン」


「お役に立ててよかったです」

「おりっ!」


 食事が終わるのを見計らってアヤが全員に水色のミサンガをもってきた。

「アヤ、わざわざミサンガを作ってきてくれたのか? ありがとう。でもミサンガなんて……」

「おりっ!」


「……なるほど。ご主人様アヤが作ったそのミサンガには特別な力があるようですので、一度身体につけて頂いてもいいですか? きっと驚きになりますよ」

「おりっ」


 マシロがそういうのでミサンガをつけると、一気に身体のまわりの空気が暖かくなった。

「なんだこれ? 俺の身体の周りになにか変な空気の圧みたいなものがあるんだけど」


「デビルブルーベアの魔力効果だな。まさかこんなことができるなんてな。これなら外にでても寒くないんじゃないか?」

 アヤがベアにミサンガを渡そうとするとベアは遠慮がちに首を振る。


「私は……大丈夫だ……」

「何を言ってるんだ。これは仲間の証みたいなもんだからもらっておけよ」

「私はおまえたちの仲間じゃないだろ」

「はぁ? もう仲間に決まってるだろ。遠慮するなよ。マシロつけてやってくれ」

 マシロがアヤからミサンガを受け取るとベアの腕にくっつけてくれる。

 口では遠慮しているが拒否はしていないので欲しくないわけではないらしい。


「みんなでおそろいってなんかいいな。アヤありがとうな」

「おりっ」


「これは今回の冒険で得た絆の証ですね」

「マシロいいこと言うじゃん」

 ベアは無言でそのミサンガを優しく触れる。それは今にも壊れてしまいそうな繊細なガラス細工へ触れるような優しい触り方だった。


「それにしても、この温かいのはあの熊の能力なのか? 寒くないならあの熊だって冬眠する必要はないと思うけど」


「熊が大丈夫でも、他の動物がいなくなっていたら冬眠した方が効率いいからな」

 外はあいかわずの雪だった。この中で食料を探しにいくなら寒くなくても冬眠してた方がいいのはなぜか納得できてしまう。


「アヤ、ありがとうな」

「おりっ」

「それじゃ、腹も膨れたことだし……寝るか?」


「寝ないだろ! ここはなんか真剣に話し合いとかをする空気だったんじゃないのか?」

「さすが、ベア。ナイスツッコミだな」

 なんてふざけていたら、傘からナイフを抜こうとしたので真面目に話し合いをすることにした。さすがにこの状況での冗談はきかなかったらしい。


「だけど、これだけ吹雪が強いと今外にでるわけにはいかないだろ?」

「それはそうだけど……」

「少し休んでから帰る方法を探そう」

「コーン」


「ベア様ハクビもさすがに少し疲れてしまったと言っていますので、話し合いは明日でもいいでしょうか?」

「そうね、幸いにもアヤの寝袋とかがあるからね。いいわ。明日にしましょう」

 ちょうど僕も少し眠くなってきていた。


 熊と格闘して、雪山でバーべーキューをしたなんて言っても普通の人なら信じてもらえないだろう。


「それじゃあ、私見張りをしてますのでみなさんはゆっくり休んでください」

 マシロは寝なくて大丈夫なので言葉に甘えて僕たちは寝袋の中で目を閉じた。

 起きたらいろいろ忙しくなる……から……な。

 寝袋に入るとあっという間に意識が遠のいていった。

もっくん「このミサンガいいよな」

アヤ「おりっ」

マシロ「売っちゃダメって言ってますよ」

もっくん(心読まれてた)


少しでも面白ければブックマークと評価よろしくお願いします

★★★★★


同作者作品大絶賛発売中です。近くの本屋でぜひ手に取って頂ければと思います。

『幼馴染のS級パーティーから追放された聖獣使い。万能支援魔法と仲間を増やして最強へ!』


絵転さん

挿絵(By みてみん)

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