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黒髪美少女

目を開けると先程とは違う場所へと転移していた。


「凄いな!!」


目の前の光景は正しく異世界に相応しかった。街から溢れ出るくらいの人々、そのほとんど人が杖を持っている。他にも、露店で商人のNPCが宣伝していたり、周りを見ると中世の街並みが広がっている。そして、中央付近には大きな塔がそびえ立っている。


「あれが【魔王】に挑戦するための魔塔ってやつかすっげーでかいな!」


周りをみるとたくさんの人がログインしたようだ。そして俺は初めてのVRで操作に苦戦していたが動いていたら慣れてきたのでとりあえずは集合場所へと向かった。



魔塔に着くと俺に向かって手を振る人達がいた。


「兄さん、こっちですよ」


「日々兄、こっちだ」


「…」


凛と颯太と恐らく葵だろう。

葵に関しては凛に隠れてよく見えなかったがメンツ的にあっているだろう。


「お待たせ、それにしても凛は凄い変わったな」


俺がこう思うのも当然だ。

ついさっきリビングで見た姿と顔以外変わっていたからだ。

金髪に碧眼で高潔さが漂うお嬢様みたいだった。それに耳も尖っているのでエルフなのだろう。どうやってエルフになったかは謎だけど。


「はい、ゲームなのでちょっといじってみました。…似合いませんか?」


「いや、すっげー似合ってるから大丈夫だぞ」


「それならよかったです」


「颯太の方は全然変わらないな」


颯太の方を見てみるとリビングで見た時と服装以外全く変わらない姿だった。


「そういう日々兄はかなり変わったよな」


「まあな、せっかくだから現実とは違ったのにしたんだよ」


「まあ、そういう楽しみ方もあるよな」


そして俺は着いてからずっと気になっていることを聞く。


「それで葵は何で凛の後ろにずっと隠れているんだ?もしかして俺また何かやらかしたか?」


突然呼ばれたからか葵がビクッと肩を震わせる。

自分が知らぬ間にまた迷惑かけたかと心配になってきた。


「日々兄は悪くないぞ、どっちかというと葵姉の方かな」


「そうですね、どっちかというと葵姉さんが悪いですね」


「…う〜、だってこの格好はほんとにダメなんだって!」


何か葵の声がいつもより高い気がするけど気のせいかな。


「そういっても葵姉さんはマント着てるんですしフードもつけてるんで簡単には見えないですよ」


「それでもダメなんだって!」


「ならこうした方がいいんじゃないか、ほいっ!」


すると颯太が葵がつけていたマントを取り去った。


「…ちょっっっ!!!??何で取るんだよ!!このままじゃ日々軌に見られ………」


そこにはフードとマントによって隠れていたけもみみと尻尾が姿を現した葵にそっくりな超絶黒髪美少女がいた。


「み、見るな!!?/////」


そして、その美少女は湯気が出そうなくらい顔を真っ赤にさせてから俺に目潰してきて、視界が真っ暗になった。


「いってぇぇぇぇぇぇええ!!?」


どういうことだ。葵は男のはずだろ。もしかして、性別いじったのか。いや、それは無理なはずだ。さっき、キャラ作成の時の魔女が性別は現実をベースにしているっていってたしな。

なら、葵の妹か?それならありえそうだけどなんでここにいるんだってことになるし、凛と颯太も葵と呼んでいたからこれもないな。ってことはもしかして!!俺のためにわざわざ薄い本の女の子の真似をしてくれたのか!!確かに葵は美少年だから女装もできるはずだ。そういうことか仲直りの印で俺の好きな格好してくれたのか葵はほんとに優しいな。俺は良い親友を持ったな。


「日々軌!これは…その…あれだ!機械の故障だからな!決して好きでこうなってるわけじゃないからな!えっとだから…とりあえず好きでこの格好している訳じゃないからな!そこんとこよろしく頼むぞ!!」


「え、機械の故障??俺のために薄い本の真似をしてくれたんじゃないのか?」


「薄い本??なんのことだ?」


俺と葵の会話が途端に噛み合わなくなる。

あれ、おっかしいな、当たってると思ったんだけどな。どこで間違ったんだろ。


「兄さん」


優しく怒気を含ませた声が聞こえてくる。

目は潰されて見えないけれど声だけで分かる凛だ。しかもかなり怒っている。俺なんかしたか?


「薄い本とは何のことですか?」


あ、そうだった!今俺、凛の前で言っちゃったんだよ!何してんだよ俺!


「あれほど買うなと私言いましたよね?」


「はい、言ってました」


「では捨てていいですよね」


「それは全部…」


「捨てていいですよね」


「1冊だけでも…」


「捨てていいですよね」


「…はい」


凛の剣幕に気圧され、俺は諦めて頷く。


「では葵姉さん、私は用事が出来ましたので今日は失礼します」


「あ、うん」


そして、そのままログアウトしていった。

俺の薄い本たちがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

俺はそのままガクッと膝をつき項垂れる。


「日々軌、なんかごめんな」


「あお゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃ」


葵が慰めてくれたのでそれに甘え泣きながら葵へと縋り付く。


「…ちょっ!?/////どこに顔埋めてんだよ!?離せって!」


「あお゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」


「ッ〜〜っ/////…少しの間だけだぞ」


葵は真っ赤な顔で日々軌の頭を撫でる。






「はいはい、イチャコラするのはその辺にしてとりあえずモンスターでも倒しに行かないか?」


「んな!?イチャコラなんかしてない!それよりも元はと言えば颯太がマント取るのが悪いだろ!」


「いや焦れったい葵姉の方が悪いよな」


図星つかれたためかギクッと肩を震わせる。


「日々兄もモンスター倒していけばそのうち忘れるだろう」


そう言って俺達はとりあえずモンスターが出る草原エリアへと向かった。

面白いや良いと思った方はブックマークと下にある評価をしてもらえるとすごくやる気が出ます。

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