アルティメット・マジシャンズ・オンライン
険悪なムードでの食事を終え、ついにゲームを始めようとしていたのだがさすがにこのままでは存分に楽しむことが出来ないと思い、まずは仲直りを優先することになった。
「俺、何か悪いことしたか?」
「まあ日々兄が鈍感なのが悪いよな」
「兄さんがトンチンカンなのが悪いですね」
「なるほど……なるほど?」
理由に心当たりがないためどうすればいいかわからなかった。
「まあ兄さんだけが悪いこともないですけどね」
「そうだよな、元はと言えば未だに言ってない方も悪いよな」
凛と颯太がジト目で葵のことを見る。
「いや、だって…」
そのまま無言で俺を見てくる。
まさか食べかすでもついてたか!
急いで口元をティッシュで拭くと何故か全員から呆れた表情をされた。なんでだ。
「とりあえず、このままでは一生仲直り出来なさそうなのでお互いに謝ってからゲームをしましょう」
「ごめんな、葵」
「こっちこそ、ごめん」
お互いに謝ったのを確認してから颯太が葵から貰った『ダイブクリスタル』を取り出した。
「さて、無事仲直り出来たってことで葵姉、『ダイブクリスタル』のこと教えてくれないか」
「おう、任せとけ」
葵は颯太から『ダイブクリスタル』を受け取り簡単に説明してくれる。
「ーーってことなんだけどわかったか?」
みんなが頷き反応する。
「よし、じゃあ最後にログインのことだけど、これは凄く簡単で『ダイブクリスタル』が置かれている部屋で目をつぶりながら「ダイブ」って言うだけでログインできるから、みんな自分の『ダイブクリスタル』でログインしてきてくれ。集合場所は中央にでっかい塔があるからそこ集合な」
説明が終わりそれぞれ部屋に戻った。
「葵はベッドを使ってくれ、俺はソファでいいから」
「おう、ありがとな」
そして、俺はソファで横になりついにログインする。
「ダイブ」
キーワードを言うと意識が闇の中に落ちていった。
◆ ◆ ◆
『ようこそ、アルティメット・マジシャンズ・オンラインの世界へ』
目が覚めると真っ白な空間に立っていて
目の前には魔女のような女性型NPCが立っていた。
『それではキャラの作成に入りたいと思います。お名前何でしょうか?』
名前かーゲームって現実の名前でもいいよな。
「日々軌です」
『ヒビキ様ですね、次にキャラの見た目の作成を致します。このゲームでは精神への影響を考慮して性別、顔は現実をベースにしています。ですので変更できる箇所は髪の色、目の色までになります』
髪と目だけ変更できるのか、うーん、現実と同じだとそこまで面白くないしな。銀髪とかにしてみるか。目の色は青でいいや。
「銀髪で目は青でお願いします」
『かしこまりました。それでは次は【魔術師】についての説明を行います。このゲームでは基本属性である火、水、風、土があります。この属性のことを『エレメント』と言います。そして『エレメント』以外の属性を『ユニーク』と言います。『ユニーク』に関しては言葉の通り自分だけの属性となっております。プレイヤーである皆さんは【魔術師】になるためにここで『エレメント』か『ユニーク』を選択してもらいます』
なるほどなるほど、『エレメント』だったらみんなも持ってるかもしれないけど『ユニーク』だと自分だけなのか。それなら決まりだな。
「『ユニーク』でお願いします」
『かしこまりました。それでは次にステータスについてです。ステータスには筋力、防御力、敏捷力、器用力、魔力、精神力とあります。この中からご自由にBPを使って割り振れます。現在BPが20溜まってますがどうしますか?』
うーん、こういうゲームやったことないからよくわかんないんだよな。全部大事そうな気がするんだよな。
『オススメは精神力になります』
そうなのか!ならそれにした方がいいな。NPCが間違えるわけないよな。
「じゃあそれでお願いします」
『ふふ、かしこまりました。それでは最後に【魔王】について説明します。このゲームでは【魔塔】を制覇したものには【魔王】への挑戦権が与えられます。【魔王】に勝ちますと世代交代となり、自分が【魔王】になれますので是非挑戦してみてください』
最初笑われなかったか?気のせいか。
それにしても【魔王】かー面白そうだし、挑戦しよっかな。
『それではごゆっくりお楽しみください』
そして、俺は真っ白な空間に包まれた。
この時の俺はある原因で部屋にある薄い本が全滅することをまだ知らない。
面白いや良いと思った方はブックマークと下にある評価をしてもらえるとすごくやる気が出ます。