表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 青の国の異常
97/529

2-2-4(第97話) とある二人の怒り

「「「…」」」


 俺が淡々と言った時、震えていた野郎はさらに震え、クロミルとリーフは発狂した奴らをただ見ているだけだった。

 俺は震えている奴の心情を一切考えず、

「お前もああはなりたくないだろ?」

 すでに廃人に近いやつらを指差して、質問した。

「な、何が目的だ!?」

「何がって…。最初から言っているでしょ。何で俺達を襲ってきたのか、その理由を教えてくれねぇか?」

「は、はい!はな、話す!話しますから!あれだけはやめて下さい!!」

 男は動かない体を使って、敵意がないことをアピールしながら、俺に話しかけてきた。


 大体男が話していたのは以下の内容だ。

 まず、この男達は冒険者ギルドに登録している冒険者だという事。

 そして、今回は、「亡国した元王女、ラピス=コンバールを捕まえる」という依頼を受け、このラピス=コンバールを追っていたという事。

 そこに偶然にも、俺達が居合わせて、返り討ちにあった事。

 俺達はフムフムと頷きながら聞いていた。

 そして、話が終わったタイミングで俺は聞いた。

「それで、なんでリーフやクロミル達を犯そうなんて話がでたの?」

「すいませんでしたぁ!で、出来心だったんですぅ!」


 俺はその一言で理解した。

 こいつらは、私利私欲で、リーフやクロミル達を犯そうとしたのだと。

 行き場のない怒りを心の内にむりやり収め、俺はとある質問をする。


「…ところで、なんで彼女らばっかり見て、犯そうなんて考えていたんだ?ちなみに黙秘権は無いから、ちゃんと話せよ」

「………巨乳だからだ」

 ピクピク。

 とある二人の目の色が変わり始める。

その二人はゆっくりと男に向かって歩き始める。

 リーフとクロミルは二人の豹変した雰囲気に驚き、何も言わずに二人に道を譲る。

 ルリは俺の近くに寄り、「お兄ちゃん、なんだかあの二人、怖いよ…」と、俺の服の袖を引っ張りながらブルブル震えていた。

 ルリ、安心しろ。俺も怖い。

 赤髪の女性は腕に赤魔法の【身体強化】をかけたらしく、腕が赤く光っている。

 紫髪の女性は魔力で腕を形成し始める。その腕は一本だけだが、どこぞの千年杉のような太さ、大きさだった。


「イブ。今回は休戦して、この馬鹿を滅ぼしましょう」

「…ん。今回は激しく同意。胸でしか価値を測らないやつは全員、消す」


 瞬間、クリムとイブの背に風神雷神の様な顔が見えた気がする。

 俺と同様に怯えているルリ、リーフ、クロミルも同じものが見えている気がする。

 こんな空気の中、俺が出来ることは、

「…クリム、イブ。やり過ぎるなよ?」

と、言うことしか出来なかった。

 返事をしなかったので、あの男の生死が少し心配だ。

 ちなみに、ラピス=コンバールは男達の声が聞こえた始めた時点で泡を吹いて気を失っていた。

 よほど怖い目にあったのだろう。心なしか、顔色が悪いように見えた。

 …もしかして、クリムとイブの怒りに当てられて、気絶したわけじゃないよな?

 まさかな。



「やり過ぎは駄目だと言ったよな?」

「「悪いとは思いますが、後悔はありません!!」」


 今俺は、暴走した二人、クリムとイブを正座させて、説教中である。

 あれから二人は、襲ってきた男達全員を赤い液体まみれにしたのだ。

 いくら襲われたからと言って、過剰防衛な気がしてならない。

 リーフとクロミルは馬車の点検、ルリは一応、ラピス=コンバールの見張りを頼んでいる。


「悪いと思うなら、少しは自重したらどうだ?」

「「それはできない」」

「…なんでだ?」

「胸の大きさでしか価値を測れない奴は制裁を加えるべきです!」

「…クリムの言う通り、我々は制裁を加えただけ。自分達が悪いんじゃない。あのクズ達が元凶」

「まさか…、アヤトも胸の大きさで女性の価値を決めるのですか?」

「…どうなの?」


 息の合った言い訳もそうだが、いつの間にか俺は責められていた。

 なんでこんなことに…。


「お、俺は巨乳だろうが貧乳だろうが関係ない。好きになった人の胸が一番だ」


 俺は無難に返した。

 自分でもヘタレだと実感してしまう程のヘタレ発言だと思う。

 笑いたければ笑えばいいさ。

 この場で死ぬよりましだからな。


「…まぁ、アヤトがここのゴミよりましで良かったです」

「…アヤトにしては、無難な返し」

「…あんがと」


 ここでも無難な返しをしておく。

 余計なことを言ってしまえば、怒りの矛先は俺に向くだろう。

 そんな面倒くさいことに巻き込まれたくないからな。


「そんなことより聞かなきゃいけないことがあるだろ?」

「それって…?」

「ああ。それはお前の事だよ、ラピス=コンバール」


 そう言って、俺はラピス=コンバールに視線を移す。


「…そうですね。では、さきほどの続きから話します」


 そう言って、ラピス=コンバールは語り始める。


「改めて自己紹介します。僕は青の国の第四王子の…、じゃなかった第一王女のラピス=コンバールと申します」


 その言葉に、クロミル以外の全員がピタリと動きを止めた。

 ラピス=コンバールの言葉に違和感を持たずに。


今週の投稿はこれで終了です。

今日、感想が送られました。

送ってくれた人様、ありがとうございます!

ご指摘された点は…、正直、自分でも読み返してみて、

「…確かにそうだよなぁ…」

 と思ってしまう程です。

 ですが、こんな作品でもちゃんと読んでくれたと思うと、とても嬉しかったです。

 今後とも、楽しく読んでくれると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ