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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 青の国の異常
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2-2-1(第94話) 追われし者との遭遇

今週も投稿します。

今回のお話は、notアヤト視点です。

 もう、あれから何日経ったのだろう。

 持ってきた食料も底をつき、今では道端に生えている有毒か無毒か分からない草を採って食べている。

 それほどまでに、切羽詰まった状態なのだ。

 そして今、たまたま見つけた洞穴で休憩しているところだ。


「…はぁ、はぁ。おい!見つかったか!?」

「ま、まだだ!あの野郎、手こずらせやがって…!」

「とにかく、あいつはまだ近辺にいるはずだ!くまなく探すぞ!」

「「「おう!!!」」」


 …まだ、僕のことを追ってくる奴らがいる。

 本当にしつこい!

 いくら僕が…だからと言って、いくら何でも、しつこ過ぎないか!?

 

「ここもそろそろ危ないかな…?」


 少ない荷物をまとめ、僕は洞穴から出る。

 日はもう見えなく、月が綺麗に見えるこの時間帯は、出歩くのに非常に危険だ。

 だが、そんなリスクを背負ってまで、あいつらをまかなくてはならない!

 そして、信頼できる人に匿ってもらわなくては!

 正直、こんな僕を無条件に近い条件で匿ってくれる人を探すのは無理があると思うけど、今はそんなことは考えている場合じゃない!

 それから僕は必死に逃げ続ける。

 元々傷だらけの服や皮膚はさらに傷つき、所々傷口から血が流れ始めている。

 だが、そんなことは気にしてはいられない。

 そんな時間があるなら、僕は逃げることに時間を割くだろう。

 それほどまでに、あいつらはタチが悪いのだ。


 もう何日逃げ続けたのだろうか?

 頭はクラクラし、意識もあやふやになってきていた。

 そんな状態の僕が今できることは、一刻も早く、助けを呼ぶことだけだった。


「誰か、助けて…」


 最早、声にならない声を発し、視界もはっきりしなくなっていた。

 やがて、自分で立つこともままならくなり、そのまま前のめりに倒れそうになってしまう。

 だが、僕の体が地面に接することはなかった。

 代わりに、

「大丈夫か?」

 声を掛けられる。

 意識を保つことが精一杯の僕に言えることは、

「…た、す、け…、て…」

 これしか言えず、このまま意識を闇に落としてしまう。

 …せめて、助けてもらった人の顔ぐらい、見たかったなぁ。

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