2-1-19(第91話) 忍び寄る危険
今週も投稿します。
今回は1000文字程度です。
「我が主よ。ただいま帰還しました」
ここはとある城跡。
その玉座で仮面を付け、優々と座っている者と、その者に対し片膝をつき、報告している者がいる。
「…それで、結果は?」
「はい。データの収集は完璧です。後はこのデータを元に創るだけです。ただ、しばらく時間がかかるかと…」
「ふむ。まぁよい。それで、創った後はどうするつもりだ?」
「はい。近くの国に送り、どれほどのものか、観察しようかと思います」
「なるほど。それで、具体的にはどの国を狙うつもりだ?」
「赤の国以外で考えますか?」
「そうだな。あそこはやめた方がいいだろう。何せ、サイクロプス・ヌルがやられたのだからな」
「…」
ここでしばらく静寂が訪れる。
まるで、お互いがお互いの出方を窺っているようだ。
そして、先に話しかけたのは、膝をついている者だ。
「私がデータ収集していた場所なのですが、とある国が近かったので、その国にしてもよろしいでしょうか?」
「ほぉ?その国はどこだ?」
玉座で優々と座っていた仮面の者が座り直す。
それと同時に、片膝をついている者が笑みをこぼす。
その笑みに共鳴するかのように、仮面を付けているにも関わらず、笑みをこぼしていることが分かる。
「はい。それは青の国です」
「…ふむ。いいだろう。」
「はっ。それで、今後のことなのですが…」
青の国に危険が訪れることになるが、まだ、この2人しか知らず、片膝をついている者は仮面の者と今後の計画について話し合う。
「…ということで、どうでしょうか?」
「問題ない。お主の好きにやるといい」
「はっ!ありがたきお言葉!」
「…いや、一つだけあった」
「はっ。な、何でしょうか?」
この時、片膝をついていた者は困惑していた。
この報告で、一回も失敗はしていない。
なので、何を言われるのか、まったく想像できなかったのだ。
それは顔色を見るだけでは分からなかったが、背中の湿り具合から、容易に想像できるだろう。
「決して失敗するでないぞ、メイキンジャー・ヌル」
「はっ!主の命、必ずや、守ってみせます!」
「うむ。その心意気だ」
その言葉を聞き、膝をついていた者、メイキンジャー・ヌルはその場を後にする。
そして、
「報告を楽しみにしているぞ。フッフッフ」
仮面の者は誰に利かせるわけでもなく、ただ笑っていた。




