2-1-17(第89話) 牛人の村での戦い~その後~
今週も載せたいと思います。
帰り道、
「「………」」
俺達は一言も話さなかった。
今回は俺のせいではない。
単にリーフが気を利かせてくれたのだろう。
でも、なんで気を利かせたのだろうか?
俺はリーフの優しい気遣いに疑問を持ちながら、リーフと一緒にルリ達の元に向かう。
「あ、お兄ちゃん~。良かった~。生きていてよかったよ~…」
「!?アヤト!大丈夫!?」
「アヤド~。おげんぎでなによりでずぅ~」
「あ、ああ」
イブは俺がここにいることに驚いているのに対し、クリムは涙を流しながら何か言っているが、何を言っているのかいまいちわからない。
なんだか、ルリの顔色が少し悪いような…?
「おいルリ、大丈夫か?どっかやられたか?」
「違うよ~。これは単なる魔力の使い過ぎだよ~。それよりお兄ちゃんのこの方がひどいと思うけど~?」
「…そんなに悪いか?」
そこまでひどい顔をしていたのか。
「…ん。一瞬、リーフがゾンビと戯れているのかと思った」
「…イブ?それはアヤトだけでなく、私にもひどくないですか?」
「…気のせい」
「…あれ?クリムのその包帯、どうしたんだ?」
「え?ああ、これですか。これはレッド爪牙狼との戦いで怪我したんです」
「それだったら、俺が治すよ」
俺はクリムの怪我した部分に近づき、綺麗な腕をイメージしながら白魔法を使う。
…上手くいったのか?包帯で怪我の部分が隠れているからよくわからないな。
「…一応、治療したけど、確認してくれないか?」
「はは。そんなまさか、アヤトが白魔法を使えるわけが…」
そう言いながら、クリムは自分の怪我一つない腕を見て固まった。
「…白魔法、使えるのですか?」
「「えっっ??」」
「ん?」
あれ?もしかして今、おかしなことをしたのか?
確かに、事前に治療するといっても、了承をもらう前に治療したから、そのことを怒っているのか?
「…悪い。なんか俺が早とちりしたみたいで…もしかして、回復しちゃ、まずかったか?」
「「「違います(違う)!!!」」」
「え?」
「普通の人は一種類しか色魔法を使うことができませんよ?」
「そ、そうなのか?」
初耳なのだが?
「「((こくくこく))」」
「へぇ~。そうなんだ~」
王女二人組は知っていたが、やはりというか、ルリは知らなかったみたいだ。
「ちょっと、どういうことか説明して頂いてもよろしいで…」
ここで、
「ご、ご主人様―!」
ん?この声は…?
「牛人か?」
「はい!ご主人様が購入なさったあの牛人です!」
「そ、そうか…」
なんか、いつもより迫力があるというか、勢いがあるかというか…。
…それにしても、気のせいなのか?なんか視線を感じる。
「はい。それで、今回のことで、みんながご主人様方全員にお礼がしたい、ということです」
「「「「「お礼?????」」」」」
具体的には何だろうか?
もしかして、お礼と称した罰ゲームでもやらされるのか?
…なんか、あのメイキンジャーのあの発言から、よりネガティブ思考が強くなった気がする。
「お礼とは具体的には何を…」
「はい。ぜひ皆様にはこれまでの苦労を少しでも癒してもらいたく、ご馳走の準備を…」
ギュルルル~~~。
「「「「「………」」」」」
「…すいません。私です」
クリム以外の全員がクリムをじ~っと見つめていたためか、意外とあっさり白状した。
「飯、食いに行こうか?」
「…はい…」
クリムはうつむきながらその場を立ち、俺たちと一緒にご馳走の場所へ向かった。
今日の内にまた、投稿します。




