1-1-4(第8話) 依頼終了。そして…。
血が不足しているため、フラフラしながらも、なんとか街の前に着いた。日は暮れ、門番も交代の準備を始めていた。
「あ、こんばんは」
「お、アヤトじゃないか。こんな時間まで依頼か。熱心なのはいいが、くれぐれも気をつけろよ」
「ありがとうございます。それではまた」
この世界の人、俺のことを心配してくれている。前はこんな友達いなかったのに。
俺は内心感動しつつ、ギルドに向かった。
ギルド内、昼間よりも酒の匂いが充満していた。うぇー、酔っちゃいそう。
あ、今朝の受付のエルフさんだ。まだ働いているとは、偉いなぁ。そういやこのエルフさんの名前知らないな。
「あ、アヤトさん。おかえりなさい。ずいぶん依頼に手間取ったみたいですね」
「えぇ。おかげさまでクタクタです」
「ぷぷ。たかがゴブリンでそこまで疲れますか。それでは成果を見せてください」
「わかりました」
エルフさんの言っていたことを無視して、ゴブリンの耳を出していった。
どさどさどさ。エルフさんの視界を遮るほど大量に出てきた。
あれ?なんか固まっているんですけど。もしかして以来失敗したのか?
「あの。なんかまずいことしちゃいましたか?」
「い、いえ。これはどうしたんですか?」
「はい。なんか大量に出てきたんで空気の刃で首を切断してやりました。」
「エアカッター!?魔法が使えたんですか?」
「はい。それで、報酬の方は?」
「え、えっと。明日の朝にまたいらしてください。そのときに清算いたしますので」
「え?それじゃ、今日の報酬は?」
「基本の五百円だけです。残りは要検討ということで、明日また来てください」
五百円でホテルや下宿に泊まるなんてことは出来ないだろう。
俺はどうやら、今日も野宿することとなった。そのことを門番さんに伝えたら、
「ま、頑張れ」
ちくしょう!明日は絶対宿に泊まるぞ!!俺は決意を固め、野宿をした。
翌朝、朝日が昇り、目が覚めた俺はあることに気付く。
「腹減った」
そう。昨日今日と、ろくに食事を取っていなかったのだ。仕方ないので、アイテムボックスから見慣れた木の実を取り出し、それを食った。これも美味いけど、
「肉や魚が食いてぇ。サバの味噌煮が恋しいよぉ」
本音を漏らし、無い物をねだりながら、ギルドに向かった。
ギルドに着くと、いつもの受付のエルフさんがいた。この人、もしかして、昨日からずっと働いているんじゃないか?
「おは」
よう、と言おうとした瞬間、受付の人たち全員がこっちを睨んだ。もしかして、俺の後ろによからぬ奴が、いなかった。どうやら俺を睨んだらしい。
「あ、あの。皆さんどうしたんですか?」
「「「あぁ!!!」」」
「ちょっと、もしかしてあの子ですか?」
「そうです!あの子が私たちの」
「許しませんね」
「おしおきだべぇ~」
受付の人たちが何か話し込んでいる。そんなことより仕事しようよ。ほら、冒険者の人達が困っているじゃん。それに最後のやつ、なんでドク〇ベェ知っているんだよ!?
「「「アヤトさん!!!」」」
「は、はい!?」
な、なんだ!??
「昼頃、また来て下さい。大事なお・は・な・しがありますので」
「え?でもいら」
「い・い・で・す・ね?」
「はいわかりました。ところで昨日の依頼の報酬は?」
「今日の昼にまとめて渡します」
「え?でも、今日のひ!?わ、わかりました!」
あれには逆らえない。だって皆、顔では笑っているのに、目が笑ってないんですもの。後ろの人に至っては、もう鬼の形相でこっちを睨んでいた。
俺は今日の昼までどう時間をつぶすか考えていると、不意に冒険者の一人が、
「お前も災難だな。その、強く生きれ」
そういって、パーティーメンバーらしき人達と一緒にギルドを出て行った。
ねぇ!?俺は一体何をされるの!?少しくらい教えてよ!おい!そこの冒険者達!そんな俺を哀れむような目で俺を見るなーー!!
こうして俺はびくびくしながら、昼になるのを待った。
また少し多くなってしまいました。今後も、1000文字程度におさめようと思います。