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色を司りし者  作者: 彩 豊
第2色 青の国 第一章 白黒牛人を助けし者達
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2-1-7(第79話) 本当のご主人様は…。 ~牛人視点~

今週も投稿したいと思います。

深夜に投稿しましたが、今日の夜にもまた投稿します。


 これはとある夜、牛人と、

「今日はルリと牛人のお姉ちゃんが夜の見張り番だね!」

「はい。よろしくお願いいたします」

 ルリの2人が、夜の見張り番をしている時のお話である。


 牛人は少し戸惑っていた。

 その戸惑いの原因は彩人である。

 牛人は彩人のことを主人と決め、彩人に仕えている。

 何故、彩人のことを主にしようと決めたのか。それは牛人本人にもわからない。

 昔、既に自分の主人を決め、仕えている友人に聞いたところ、

「んー。よくわからないわ。でも、その時は必ず来るし、きっと、この人で良かったって思えるわ」

 と言われた。

 だが、そんなことが起こるとは思えなかった。

 それは、彩人が旅を始めてから、戦闘らしい戦闘をほとんどしていないからである。

 彩人は道中、食料を探すため、森のなかを歩き回るが、魔獣を狩っているところを1度も見たことが無い。

 前に1度、魔獣を持ってきたことはあったが、既に倒していたので、彩人の実力を直接目で見ることが出来なかったのだ。

 また、彩人が牛人の主としてふさわしくないと思ったのはそれだけではない。

 本人は隠しているつもりかもしれないが、ちょくちょくイブ、クリム、リーフのことをいやらしい目で見ているのだが、彩人以外の全員はその視線に気づいているのだ。それを本人の前でいうのも可哀想な気がするので、言っていないだけなのである。

 そんな実力が未知数で、異性をいやらしい目で見ている人を主と呼んでいいのかと、本気で牛人は悩んでいた。


「お姉ちゃんは、なんでお兄ちゃんを主に決めたの?」

「そ、それは、わかりません…」

「ふーん。でも、お兄ちゃんを主に決めてよかったって思ってる?」

「それはもちろんです!」


 そうです。

 確かに、実力は未知数ですが、ご主人様の作る「ホットケーキ」という食べ物は絶品で、何皿でもいけそうなくらい美味しいです。そして、ハチミツをかけて食べると最高に美味しいのです。


「それじゃあさ、なんでそんなに辛そうな顔しているの?」

「え?」


 ルリは一目会った時から牛人に違和感を覚えていた。

 牛人のことはイブ達が教えてくれたので、少しは知識として知っている。

 牛人が主を見つけた時は、まさしく運命の出会いそのもので、一生に一度、起きるか起きないかくらいである。なので、本来、主を見つけた時は嬉しくなるはずだと聞いてはいたが、この牛人はとある理由でそこまで嬉しくなれなかったのだ。

 そして、そのことをルリに見破られたのだ。最も、その理由まではわかっていないようだが。


「お兄ちゃん達は気付いていないかも知れないけどさ、私にはわかるんだよ?」

「それは何故です?」

「う~ん…、勘、かな?」

「勘、ですか…」

 牛人はこの少女、ルリに恐怖を抱いた。

 この少女、ルリに私の全てを見透かされているような、そんな気がしてならないのだ。


「でもさ、お兄ちゃんに伝えなきゃいけないことがあるんじゃないのかな?」

「それは…ありません」

「…今、嘘ついたよね?」

「!!?それももしかして、勘、ですか?」

「うん!」

 

 ルリは満面の笑みを牛人に送るが、かえって牛人には逆効果であった。


「でも、悩みがあるなら、お兄ちゃんにちゃんと言った方がいいよ?協力できるかもしれないし」

「ですが、私事でご主人様のお手を煩わすわけにはいきません」

「ふぅ~ん」

「な、なんですか?」


 ルリはさらに笑っていた。本人は普通に笑っているだけなのだが、牛人には、恐怖しかなかった。


「つまりさ、悩みはあるってことだよね、お姉ちゃん?」

「!!?い、いえ!今のは言葉の綾であって…」

「うんうん。で?」

「………」


 牛人が何か言おうとしたが、無駄だった。


「でも、お兄ちゃんに言えば、大丈夫だと思うよ♪」

「で、ですが…」

「…そんなに自分のご主人様を信じられないの?」

「…私にはどうしても、ご主人様が私のご主人様だとは思えないんです。ですから…」

「間違ったら間違ったでいいんじゃない?また探せばいいじゃん」

「そしたら今のご主人様とお別れすることになってしまいます」

「それがお姉ちゃんの決めたことなら、みんな止めないと思うよ。ただ、」

「ただ、何ですか?」

「…うんうん。何でもないよ」

 寂しくなる、とは言えなかった。

 それを言ってしまえば、牛人の決断が鈍ってしまうから。

 ルリはそう考えながら、牛人に笑って返事をした。


「とりあえずさ、1度悩みを打ち明けてみればいいじゃん」

「ですが、」

「別に今すぐじゃなくてもいいと思うよ。でも、この旅でどうするか、決めてほしい、かな」

「…わかり、ました」

「うん♪あ!見て、お姉ちゃん!」


 ルリが指さした方向には、


「…きれいな、朝日です」

「うん!」


 淡い橙色の朝焼けが顔を出し始め、朝が黒から橙色、そして水色へと変わっていく。その色は牛人やルリだけでなく、あらゆるものを包み込む。

 そうやって変わりゆく空を見つめ、


(話をするだけでも、何か変わるかも知れませんね)


 牛人は心の中で決意した。

 だが、

(いつ、話しましょうか)

 話す時期を考え始めた。

 だが、牛人には考える時間は無かった。


「…ん。んー。も、もう朝か…」

「あ、おはようございます、ルリちゃん、牛人さん!」

「…ん。おはよう」

「みなさん、おはようございます。ずいぶんとお早いですね。私はもう少し寝ていますね…」


 みんなが起き始めたからだ。


「さーて、朝食の用意でもするか。リーフは…、まぁ、そのうち起きてくるだろ。ルリ、牛人、朝食の準備、手伝ってくれるか?」


 本当は主じゃないかと知れない。

 でも、そんなのは関係ない。

 今はただ、このご主人様に仕えるだけだ。


「はい(うん)!!」


 不意に、ルリ様と声が重なる。

 そして、ルリ様と目が合う。


「今後もよろしくね、牛人のお姉ちゃん!」

「はい!」

「?どうしたんだ?」

「べっつにー。お兄ちゃんには関係もん。ね?」

「そうですね♪」

「??」


 いつか、買ってくれたご主人様にもお礼を申し上げなくてはいけない。

 けれど、ルリ様にも同じくらい感謝している。

 だって、ルリ様とお話ししなければ、この決意は一生できなかったのだから。


「おーい。何しているんだ?早くこっちに来いよ」

「そうだよ!早くこっちに来て遊ぼうよ、牛人のお姉ちゃん!」

「…おい。今から朝食を作るんだからな?遊ぶんじゃないからな?」

「分かってるって~♪ね?」

「はい!」

「おい。今、どっちに返事をしたんだ?おい、答えろ、答えてくれー!」


 私は笑顔で返事をする。

 そしてもう迷わない。

 いつか、ご主人様にあのことを話そう。

 私は揺るぎない決意を固め、ご主人様の元へ向かう。

 心なしか、いつもより体が軽くなっていた。

今回は牛人視点で書いてみました。

また、今回の主人公はモブ?みたいな扱いとなりました。

そろそろ牛人の名前を決めたいのですが、誰も返事をくれません。

感想でも評価でもしてくれたら嬉しいです。

前書きでも伝えましたが、また夜にでも投稿します。


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