1-3-20(第70話) 新たな装備。その名は…!
タイトルでも述べている通り、新たな武器が登場します。
それは…読めばわかります。
「…らっしゃい…」
次にやってきたのは、前の店の店員が言っていた装備屋だ。
そして、この店員は、ザ・仕事人!て感じだ。口で語るより、自分で作ったモノで語る、みたいな感じだ。
ちなみに牛人は目立つため、フード付きコートを着て、フードも深く被ってもらっている。それでも少し目立つ気はするが、正体がばれるよりはましだろう。
「…何の用だ?」
なんでこの人、こんなにケンカ腰なの?俺、何かした?
とりあえず、あの店員の話でもしておこう。
「あの、俺にお礼がしたいって聞いたんだけど…」
「あぁ?俺がお前に?…もしかして、お前がアヤトか?」
「えぇ、まぁそうです」
「そうか、ちょっと待ってろ」
そう言って、ごつい店員は奥に入っていった。
「…アヤト。またなにかもらえる?」
「わからん」
ここまであのごつい店員と話していないからな。何がしたいのかがまったくわからない。
まぁ、悪いことは起きないとは思うのだが、正直、ちょっと怖い。
「ほらよ」
どさっ。
俺の目の前に置かれたのは鞘に収まっている剣だ。
色んなゲームに出てくるようなロングソードだ。
だが、刀身の部分が見えない。すごい気になる。
「これは、【神色剣】という剣だ」
「【浸食剣】?」
何だその剣?常に何かを侵しているのか?
「この剣の刀身は神が宿ったかのような色をしている、と言われている剣だ」
ああ。【浸食剣】じゃなくて、【神色剣】ね。
「だが、この剣を鞘から引き抜いた者は誰もいない。故に、誰もこの剣の刀身を見たことが無いのだそうだ」
そうだ、じゃねぇよ!?
なに、この人、もしかして、不良品を俺に売りつけようっていう口か?冗談じゃない!別の物を買おう。
「それいが…」
「別にこの剣を引き取ってほしいとは言わん。一度、一度でいいから、この剣を鞘から引き抜けるか試してほしいだけだ」
一応真意はわかったが、俺の言葉を被せるのはやめてほしいな。
「…わかった。一度だけだぞ?」
「…感謝するぞ、アヤト」
俺は剣を手にする。
…?
何か不思議な感じがしたけど、この感じは一体…?
まぁいっか。
それより、この剣を鞘から引き抜けばいいんだよな。
俺は剣の柄の部分と鞘を持ち、剣を引き抜く。
シャキーーン。
おお♪なんか抜けたな。
見た目は普通に想像していた銀色だ。
これをどう見たら神の色とか言えるのだろうか?
わたしはふしぎでたまらない。
…だれも突っ込んでくれないか。
「「「………」」」
そして、この静まり返った空気を何とかしてほしい。
俺はそっと剣を鞘に戻し、カウンターに置き、
「ん~。やっぱこの剣、俺じゃあとても抜けないな」
「「「………」」」
「それじゃおやっさん。俺はこれで…」
そう言って、俺が出口まで行ったところで、
「「「いやいやいや!!!」」」
「お前さん!今何をしたのかわかってやっているのか!?」
「…アヤト。流石に今のは無視できない」
「お兄ちゃん!何1人で帰ろうとしているの!?ルリと一緒に帰ろうよ!」
ちっ。流石にこのまま帰してくれるわけがないか。
「お前、もしかして、神の使いか何かか?」
「は?俺がそんな偉そうなやつに見えるのか?」
「見えない!」
「…私も」
「…」
ルリとイブは否定してくれたが、牛人は首を縦に振っていた。
…一体、俺をどういう風に見たら神の使いなんかに見えるのか…。
「とにかく、俺はそんな大層な人じゃないから」
「だが、この【神色剣】を鞘から抜いたじゃないか」
「…いや、気のせいじゃね?」
「じゃあ、もう一回やってくれないか?」
「………」
どうしよう。流石にもう一回やってまた抜くことが出来たりしたら絶対に面倒くさいことになる。
待てよ?
もしかしたら、さっきのは気のせいだったのかもしれない。さっきのは幻影だった可能性もある。そうとわかれば、
「わかった」
俺は再び【神色剣】に手をかける。
そして、「もう剣が抜けませんように」と祈りながら、俺は鞘から剣を引き抜く。
シャキーン。
…抜けてしまった。
「抜けているじゃねぇか!?」
「…そうみたいだな…」
俺はさっきまでの自分の浅はかさを恨んだ。
「どうやらその剣はお前が持つのにふさわしいようだな」
「…わかった。この剣は俺がもらうよ」
俺はこの剣をもらうことにした。
本当は、この剣を受け取る気などなく、断る理由を色々考えていた。だが、説得する時間と労力を自分なりに考慮した結果、素直に受け取った方がいいと判断した。
俺は剣を受け取るついでに、周りに置いてあった剣を買った。
予備の剣も必要だと考えたが、一番の目的は強度試験だ。
どの鉱石で作るのが一番いいのかわからないので、色々な剣を買った。銅剣、青銅剣、銀剣、魔銅剣等実に種類が豊富だ。
何故、魔銀製の剣がないのだろう。
試しに聞いてみたら、
「そんな高価なもの、店に置いてねぇよ!」
と、言われた。
つまり、魔銀は高値で売れる、というわけだな。
…なんだか、ルリがお金に見えてくる…。
俺は心の中でルリに感謝をしといた。
合掌。
「じゃあな、おやっさん」
「…おう、いつでも来い。今度はもっといい品をお前に提供してやる」
「…変なものを仕入れるなよ?」
「へっ。わかってらぁ!」
俺達はこうして装備屋を後にした。
一応、これで今週分は終わりです。
もっと書き溜めしておかないとやばいです…。
感想、牛人の名前等お待ちしております。




