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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 桃色脳であるエン公爵との決闘
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1-3-7(第57話) フェニックス救出!

 しまったな。どうやって折るか、一切考えていなかったな。

 確かにルリから、あのフェニックスの角を折ってくれるようお願いされたのだが、どうやって折ればいいんだ?


「ルリ、あの角、どうやって折ればいいんだ?」

「その剣を使えばきっとできるよ!」


 そう言って、ルリは満面の笑みを俺に向ける。

 この剣にそんなことが?

 だが、迷っている暇はない。何せ、


「ぎえええ!」


 なんか、叫び声が変わっているし、今も現在進行形で騎士達が俺に切りかかって来るし。

 …しょうがない。頼るか。


「ルリ!あの騎士達の相手、頼めるか?」

「あの騎士達、殺せばいいの?」

「違う。殺さずに無力化するんだ」

「でも、私にそんなこと…」

「できるかできないかじゃない。今やるんだ!それに、今やってくれないと、」

「ぎええ!」

「あのフェニックスは助けられなくなるぞ?」

「…わかったよお兄ちゃん。やってみる」



 本当は、ルリに、この戦闘には参加してほしくなかった。

 もちろん理由はある。

 これから俺と旅をするにあたり、人としての感性や感情、人との付き合い方等を学んでほしいと俺は考えている。だから、ヒュドラの時とは違い、おおいに苦労するだろう。

 それでまず第一歩として、むやみに人殺しをさせないことにした。

 だから今回、人殺し有りの決闘に参加させたくなかったのだが、俺の力不足とルリの脅迫、熱い意思により、参加を認めたのだ。

 俺ももっと強くならないとな。


「【蛇睨み】!」


 いつの間にかルリの周りにいた八匹の蛇が騎士達に睨みをきかせると、辺りにいる騎士達の動きを止める。

 すげー。ルリの奴、あんな技を持っていたのか。俺との模擬戦の時、あんな技使っていなかったぞ。


「これでしばらくはいいかな?お兄ちゃん!これでいい?」

「ああ。上出来だ」


 さて、俺もそろそろ折らないとな。


 フェニックスが繰り出す火の息や翼を羽ばたかせて生み出す強風等の攻撃が訓練場全体に風や熱さをもたらす。きっと、この訓練場にいるだけで熱いと感じるだろう。なら、その熱さの原因の近くにいる俺はどれほど熱く感じるのか。まるで全身やけどしそうなくらい熱い。

 指も、頭も、剣も、着ている服も、目でさえも熱く感じる。でも、


「いくぞ、フェニックス!」


 やらくちゃな。

 俺はフェニックスの角を折るため、思いっきりジャンプした。


「折れろ!」


 俺は思いっきり剣を振り下ろす。

 だが、フェニックスもただ見ているだけじゃない。

 やはり、空中戦ではフェニックスに分があるらしい。華麗にかわしたと思うと、置き土産と言わんばかりに、火の球を俺に撃つ。


「くそ」


 俺にかわす手段はほとんどなく、直撃してしまう。

 俺はその衝撃で、訓練場の端の壁に突っ込んでしまう。


「いってぇ…」

「はっはっはっはっは!いい気味だ!」


 あのくそ公爵め。後で覚えてろよ。

 俺はゆっくり体を起こすと、その上には、

 思いっきり息を吸い込み、何かをため込んでいるフェニックスがいた。


(やばい!?どうする?どうすれば…)


 俺は必死に考えた。どう見ても、フェニックスは大技を仕掛けるために待機中だ。

 どうすれば。

 …今、チャンスじゃね?

 少し考えてみれば、今のフェニックスは隙だらけだ。攻撃してくださいと言わんばかりだ。だったら、今しかない!

 そして俺は近くに落ちていた剣を拾った。

 だが、フェニックスの方が早かった。


「今だフェニックス!やれ!」

「ぐうぅ」

「くそぉ!」


 叫んだとしてももう遅い。フェニックスの大技が直撃すると思い、目をつぶってしまう。

 …。

 ……。

 だが、いくら待っても、俺に攻撃が当たることはない。


「あれ?」


 俺はゆっくりと視線を上げた。

 そこには、


(いま…す。は…や…)


 自分の攻撃を撃たずに硬直しているフェニックスがいた。

 しかも、俺に念話?のようなもので話しかけてきたのだ。

 おそらくだが、このフェニックスにも、あの紫色の角で制御しきれていない部分があるのだろう。

 だからこそ、この時間を、フェニックスがくれたこの隙を逃すわけにはいかない!


「何をしている!?早くあいつを…!」

「うおおおぉぉぉ!」


 俺は剣にいつもより高密度な魔力を纏わせる。

 そして、

 ガキキイイイィィィ!!!


 金属同士がぶつかったかのような音を上げる。

 角はまだ折れていない。

 だったら、もっと力を込めるだけだ!

 

「折れろぉぉぉ!!」


 ぎぎぎぎぎ!

 散っていく火花が俺の頬に当たるが、そんな熱さは気にせず、剣に力を込め続ける。


「いっけぇぇぇ!!」


 ボキィン!


「な、なんだと!?」

「よし!」


 フェニックスに付いていた紫色の角は折られ、やがてその角だった物は消滅した。

 フェニックスはそのまま地面までゆっくりと降りていき、地面に横たわった。

 今はゆっくり休んでほしいものだな。

まだまだ続きます。

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